平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)が日本勢のメダルラッシュに沸く一方で、日本国内では「eスポーツ」が盛り上がりを見せている。ゲームを競技として、スポーツのようにプレー及び観戦するものだ。最近、首都圏で行われたイベントでは、万単位の来場者を記録した。2022年の中国・杭州(こうしゅう)アジア大会で、正式競技としての採用が決まっている。今月1日、日本では既存の3団体が統合・合併し、「日本eスポーツ連合」が発足。将来の五輪競技を目指し、動きだしている。
スポーツにも劣らない盛り上がりや、ライブ感を見せた。都内で行われたeスポーツ大会「RAGE Shadowverse Chronogenesis」。各自のスマホにインストールしたカードバトル「Shadowverse(シャドウバース)」の大会モードで、それぞれの技を競う。ギャラリーまで含めれば約1万人が、バトルを繰り広げた。
大会の形式はさまざまで、個人戦もあれば、3人1組のチーム戦もある。五輪では競技や種目が数多く行われるのと同様に、こちらのゲーム種目もカードゲーム、格闘系、サッカーなど、いろいろある。
場所と規模、参加や観戦の人数だけ見れば、マイナースポーツをはるかにしのぐ。「携帯電話1個あれば、誰でも参加できます。身体能力が必要とされるスポーツの競技に比べ、誰もが楽しめる」。この大会のプロデューサー大友真吾氏(33)はこう話す。
2015年末、このイベントは始まった。ゲーム好きなファンを大会場に集めるだけでなく、ゲームに特化した動画メディアで生放送することで、ファンを増やしている。会場来場者が万単位なら、ネット来場者は100万単位になる。
「テトリス」「ぷよぷよ」など、人気ゲームで腕を競う大会は、1990年代から行われていた。それがゲームセンターでの通信対戦型に発展した。マージャン、クイズ、格闘系などがいい例だ。さらに今回のように、動画メディアに載せることで、ファン層が確実に広がっている。
eスポーツの国内市場規模はまだ数億から数十億円レベルだが、全世界では1000億円規模という。特に欧米や韓国、中国で盛ん。国としてスポーツ競技に認可しているアジア各国では、急成長している。
今月1日には五輪競技に向けて大きな前進があった。国内の既存3団体が合併・統合されて「日本eスポーツ連合」が発足された。「唯一の国内統括団体」というIOCの選手派遣条件をクリアした。
五輪競技に採用されるためには、クリアすべき課題は多い。プロゲーマーやスター選手の育成、ゲームメーカーの充実、賞金大会の開催、スポンサー探し、新たな産業としての確立などだ。「クールジャパンの1コンテンツとして、認知度をアップさせ、市民権を得ることが大目標」。大友氏は前を見据えた。【赤塚辰浩】