政府は2月28日、裁量労働制をめぐる不適切なデータ処理問題を受け、働き方改革関連法案の「柱」だった裁量労働制を法案から切り離し、今国会への提出自体を断念する方向で検討に入った。不適切なデータは今後も増えるとみられ、国民の理解は得られないと判断した。首相の「肝いり法案」で骨格部分が消えれば、首相には大打撃。9月の自民党総裁選3選への影響も避けられず、自民党内では、第1次安倍政権で首相退陣の一因にもなった「消えた年金問題」と、状況が似てきたとの声も出始めた。

 首相は同日の衆院予算委員会で「(データ問題は)きっちり実態把握をしない限り、政府全体として前に進めない。相応の時間を要する」と述べたが、野党は政権の失態として追及を強める。データ問題の影響で採決がずれ込んでいた18年度予算案は同日夜、衆院を通過し、参院に送られた。