「漫画 君たちはどう生きるか」が200万部の大ベストセラーになるなど、「名著」がブームになっている。そのブームの火付け役の1つがNHK・Eテレ「100分de名著」(月曜午後10時25分)だ。文学、哲学、宗教など幅広いジャンルの古典を紹介する番組で、最近では取り上げられた本の売り上げが飛躍的に伸びるという現象も起きている。

 「100分de名著」の影響力に、出版社も驚いている。5月放送の「生きがいについて」(神谷美恵子著)の発行元みすず書房では、放送開始前に1万部以上を増刷したが、全国の書店から追加注文が相次いだという。1966年に出版されてロングセラーとなっていたが、番組に紹介されたことで一気に火がついた。現在も売れ続けているという。

 みすず書房の担当者は「普段専門書を置いていない街の書店さんからも注文をいただいています。うれしい驚きなのが、『人間をみつめて』『こころの旅』など神谷さんのほかの著作も動いていること。『生きがいについて』を読んで、違うものを読んでみたいという方が多いのではないでしょうか」と話していた。