片山さつき地方創生担当相(59)は18日、報道各社の取材に、同日発売の週刊文春が報じた、国税庁への「口利き疑惑」を全面否定した。「事実誤認」として名誉毀損(きそん)で訴える意向を明かしたが、記事の事実関係は、訴訟準備を理由に答えなかった。「在庫一掃内閣」唯一の女性閣僚に浮上した、政治とカネの問題。疑惑を抱えたまま24日開会の臨時国会に臨めば、野党の集中攻撃は必至だ。内閣改造を終えたばかりの安倍晋三首相は、「目玉閣僚」でつまずいた。

片山氏は大臣就任に伴うグループインタビューで、所感や担当分野に関して約30分、答えた後、短く「文春砲」の質疑に応じた。

文春記事は、15年に会社経営者から確定申告をめぐる相談を受けた片山氏側が経営者から100万円を受け取り、国税庁関係者に電話をしたとの内容。事実なら、あっせん利得処罰法違反の疑いがあるとも指摘している。

国税庁を外局に持つ財務省の元官僚の片山氏は、「私がまるで100万円を要求し、税務調査に介入したかのように誤解されかねない。事実誤認、不正確な内容」と内容を否定。「政治家としての社会的評価が著しくおとしめられた。可及的速やかに名誉毀損で訴える準備をしている」と、法的手段に出る意向を表明。「文春砲」との全面対決を宣言した。

記事には経営者の主張として、片山氏が「やっておきますよ。任せてもらえれば、大した問題じゃない」「うまくいったら100万円なんて決して高いものじゃない」と述べたとの記載もあるが、片山氏は「訴訟準備に入っており、弁護士に止められている」として、事実関係の明確な説明を避けた。「丁寧に答えたのに全部は(主張が)載っていない」と漏らす場面も。質疑は約4分で終了した。

片山氏は、2日に発足した第4次安倍改造内閣で唯一の女性閣僚。自身も悲願の初入閣で、首相に「2人分、3人分の存在感」の発揮を期待されたが、違う形で存在感を示す形になった。同内閣では、工藤彰三国交政務官が政治団体の集会収入を政治資金収支報告書に記載しなかったことが発覚。自民党の国場幸之助衆院議員も、同じ「文春砲」で女性問題を報じられ、内閣も党も問題山積みだ。

野党は「事実なら閣僚はおろか国会議員の資格もなくなる。首相の任命責任も出てくる」(共産党の志位和夫委員長)と徹底追及の構え。今日19日には疑惑追及のヒアリングも開く。疑惑を抱えたまま臨時国会に臨めば、片山氏は苦しい立場に追い込まれそうだ。