京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオが放火された事件で、京都府警は19日、身柄を確保した男は住所、職業不詳の青葉真司容疑者(41)と発表した。現場から約500メートル離れた公園のベンチでは、事件前日に青葉容疑者に酷似した男が複数の住民に目撃されていたことも分かった。事前にガソリンや複数の刃物を購入するなど、計画的に大量殺傷を図った疑いがあることが明らかになってきた。また、1階から救出された男性1人の死亡がこの日確認され、死者は計34人になった。

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京都アニメーション第1スタジオから約500メートルにある「桃山舟泊公園」で、青葉容疑者に似た男が複数の住民に目撃されていた。近くに住む男子中学生は事件前日の17日夕、公園のベンチで、寝ている男を目撃した。ベンチの横には台車があり、黒いバッグなどたくさんの荷物が置かれていたという。

男は大柄で、青葉容疑者が事件の時に着用していたものと同じような赤いTシャツにジーンズ姿。男子中学生は「台車があったので不思議だった。片手がだらんと垂れて、地面に届きそうだった。ちょっと近寄りがたい雰囲気があって、怖かった」と話した。

男は、事件当日の18日朝にも目撃されていた。近くに住む女子中学生は「2回、見た。学校から帰る17日の夕方と登校前の18日の朝。赤い服だったので印象に残っている」と証言した。

公園の近くに住む30代の女性は、18日早朝にベンチで寝ている男を目撃した。女性は「公園で寝泊まりする人は見たことがないので、怪しいと思った」と話した。18日午前10時ごろには公園の近くのガソリンスタンドで、容量20リットルの携行缶2つを持って現れた男が、ガソリンを購入していたことも分かっている。

青葉容疑者は確保時に「(京都まで)電車で来た」と話していたことも判明。足取りが徐々に明らかになると同時に、事前に入念に準備を進め、計画的に事件を起こした可能性もある。この日午前、公園のベンチの近くに、ガソリンの携行缶が入っていたとみられる段ボール箱2つ、着火剤や多目的ライターの箱なども見つかった。

男がいた公園を昼間によく利用する60代の男性は「男の姿は見かけなかったが、数日前からベンチの横に不審な黒いバッグが置かれていた」と話した。犯行直前まで、公園を「起点」にしていた可能性も出てきた。【松浦隆司】