京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオで34人が死亡した放火事件で、18日の火災発生の数日前から現場付近で、複数の近隣住民が青葉真司容疑者(41)に似た男を目撃していたことが20日、分かった。事前に入念に下見していた可能性もある。

事件2日前の16日午後7時半ごろ、自転車で帰宅途中だった男子高校生(15)はスタジオ近くにある細い路地に立っている大柄の男を目撃した。「暗かったけど、一瞬、目が合った。怖かった。Uターンして回り道をして帰った」。現場周辺では複数の住民が赤いTシャツにジーンズ姿の不審な男を目撃していた。

現場近くに住む60代の女性は「事件の数日前の夜、スタジオの近くに立っている男を見た。じっと建物を見ていた」と証言した。近所の主婦(39)は「事件の数日前から見慣れない赤いTシャツの男が何度も目撃されていた。近所のうわさになっていた」と話した。 事件当日の18日朝にはスタジオから約500メートルの公園で、青葉容疑者に似た男が複数の住民に目撃されていた。京都府警によると、青葉容疑者は事件の約30分前の午前10時ごろ、公園近くのガソリンスタンドに携行缶2つを持参し、40リットル分を購入。その際、「発電機に使う」と虚偽の説明したという。スタジオ近くでバケツに10リットルほどを移し替え、台車でスタジオまで運び、建物内にまいて火を付けたとみられる。

事件4日前の14日、青葉容疑者は、居住先とみられるさいたま市で近隣住民とトラブルを起こしていた。その後、電車で京都市へ移動し、現場周辺の公園などで寝泊まりしていたとみられる。【松浦隆司】