学校法人「森友学園」の補助金詐欺事件で懲役5年の実刑判決を受け、大阪市都島区の大阪拘置所に収容された前理事長籠池泰典被告(67)が21日、保釈された。同拘置所前で、現在の心境を俳句にするなど籠池節をさく裂させた。

午後8時すぎ、判決公判と同じ真っ赤なネクタイとスーツ姿で登場した泰典被告は軽く右手を挙げた。実刑判決について「国策勾留、国策捜査、まさにその筋書きにそったものであった」と検察側への不満をあらわにした。

大阪地裁の保釈決定に対し大阪地検が不服として申し立てた抗告を、大阪高裁が21日に棄却した。この日夜、保釈された。保釈金は1200万円という。

安倍政権への批判も続けた。「詐欺罪にすることによって、求刑を重くしていく。それは安倍総理大臣の、籠池は詐欺をする人物、昭恵もだまされたというところにつながっていく。言語道断だと思う」とまくしたてた。

今後について、控訴することを明言し、「最高裁まで戦う」と宣言した。懲役3年執行猶予5年の妻諄子被告も夫を出迎えた。3日ぶりの対面に「うれしいです。お父さんがこの3日、どんな気持ちでいたのか聞きたい。ほんと、立派になったな」と声を震わせた。

最後に泰典被告は恒例の一句を披露した。

「愛し妻 握る手ぬくし 公判廷」

2人で手を合わせて判決を聞いたときの状況を振り返り「この人があたたかい手で(私の)手を握ってくれていた」と説明した。

「あ、それともう1句」と付け加えた。

「妻無実 執行猶予 春1つ」

「春が一つ来たなという感じです」と素直な感想を話した。

さらに「もう一つ詠んだんですね」と胸を張った。

「詐欺罪は 政権忖度(そんたく) わが勝利」

控訴審へあらためて闘志を燃やした。