派手な仮装ではなく、身近にいる見覚えがある人になりきるイベント「地味ハロウィン2020」が31日、開催された。

同イベントは、主催するデイリーポータルZの林雄司編集長(49)が、仲間内でスナックを貸し切り、地味な仮装を披露しあったことがきっかけに14年から始まった。毎年、話題になる渋谷のハロウィーンの裏側で、とんちを効かせた仮装が毎年注目を集めていた。渋谷の東京カルチャーカルチャーに18年は874人、19年は事前申込制(無料)を取り人数制限を行って515人が集まった。今年はコロナ禍で規模を収縮。3部制に分け各回70人で計210人。場所も渋谷から二子玉川へ、解放感ある会場に移動した。また、オンライン参加やツイッターでの参加など、密を避け安全に配慮がなされた。

例年とは異なる状況で開かれたにもかかわらず、会場は大いに盛り上がりを見せた。林氏は「こんな状況でも、面白いことが出来るということにほっとしています」と笑顔を見せた。特に今年の参加者は、世の中で起きる苦労や経験を笑いに変える人が多いという。 ひときわ会場を沸かせたのは、緑と黒のギンガムチェックのシャツを着たbunnさん(42)。「某アニメのせいでお気に入りのシャツが着られなくなった人」の仮装をした。bunnさんは「鬼滅の刃」の主人公、竈門炭治郎の着ている服に、自身のシャツが似ているとは知らず、会社に着用していった。普段通りに勤務していたところ、上司から「全集中してる? 長男だから我慢強いよね」といじられた過去を明かした。実際は次男であり、以来恥ずかしくてこのシャツを着られなくなったという。

今年ならではの仮装は他にも見られた。7月から始まった買い物袋有料化でのあるあるを体現した「袋代をケチったばかりにオフィスに戻れなくなった人」の仮装をした松下欣旦(よしあき=31)さんは、3年連続の参加だという。タイトルの通り、袋代をけちったために両手に商品を抱えたため、ドアノブを開けられないというもの。ドアノブやアクリル板など仮装に掛かった費用は、総額5000円の大作。松下さんは「知恵比べのようなみんなが思い付かないアイデアを、それぞれ披露しあう感じが面白い」と「地味ハロウィン」の魅力を話した。