将棋の最年少2冠、藤井聡太王位・棋聖(18)が16日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第34期竜王戦2組ランキング戦決勝で八代弥(やしろ・わたる)七段(27)を下し、優勝を飾った。これで、竜王戦はデビュー1年目の17年に最下級の6組優勝から始まり、18年5組、19年4組、20年3組に続き、今年2組と、5期連続昇級をすべて優勝という史上初の記録を打ち立てた。しかも、各組予選は足掛け5年で負け知らずの24連勝とした。

藤井が着実な攻めでにじり寄った。金銀4枚で1一の地点の玉を固める八代の穴熊囲いを地道に崩す。「少し自信がない局面が続いていた。先手4五桂(93手目)と跳ねて勢いが出た」。守備駒を1枚ずつはがし、投了に追い込んだ。「ランキングの優勝はうれしい」。喜びをかみしめた。

過去の竜王戦で最短5年でのストレート昇級は、1~5期の佐藤康光九段、8~12期の鈴木大介九段、15~19期の橋本崇載八段(引退)、21~25期の佐藤天彦九段の4人。6~2組全部優勝で昇級の例はない。

藤井は、昨年度最後の対局となった3月23日の同準決勝(松尾歩八段戦)で勝ち、豊島将之竜王(叡王=30)への挑戦権を争う決勝トーナメントへの進出を果たした。この棋戦では常々、「決勝トーナメントで結果を残していない」と口にしている。過去4年、先輩棋士の厚い壁にはね返されてきた。「全力を尽くしていきたいと思います」。勢いに乗って目指すは、初の竜王挑戦権獲得だ。【赤塚辰浩】