上野愛咲美女流立葵杯(女流名人=21)への挑戦権を目指す、囲碁の第10期会津中央病院・女流立葵杯準決勝、仲邑菫女流棋聖(14)対向井千瑛六段(35)が20日、福島県会津若松市「今昔亭」で行われた。対局は193手までで黒(先手)番の向井が中押し勝ち。初の挑戦者決定戦進出を決めた。同日同所で打たれたもう1局の準決勝で上野梨紗二段(16)を下した藤沢里菜女流本因坊(24)との挑決は、21日午前11時から同所で打たれる。

「今回はヒール役です」と笑った。中盤、急所の石を手厚く守ってリードを奪うとそのまま押し切った。仲邑には過去2戦2敗。昨年3月の女流名人戦挑戦者決定リーグ、同12月の女流棋聖戦準決勝と連敗した。「内容的に不本意な囲碁でした。仲邑さんの鋭い攻めを食わずにしっかり戦ってつぶれないように」。盤に向かうと、この方針を貫いた。

19日の前夜祭で着物で帯を締めた瞬間、姿勢も気持ちも引き締まった。「仲邑さんに試練を与えたい」と決意表明した通り、立ちはだかった。

2013年(平25)には女流本因坊を獲得している。三村芳織三段(41)長島梢恵三段(38)と3姉妹で棋士になっており、姉2人を前に「私が最初にタイトルを取る」と豪語したほど。それを有言実行した。

立葵杯は、同じ年に創設された第1期にタイトル保持者としてシードで出場が可能だった。出産のため、欠場した。その時に生まれた小3の長男はこの日、小学校の運動会だった。仕事で見に行けないと伝えると、「お母さん、頑張って」と逆に送り出されたという。

しかも、対局前に夫から長男が出ていた集団演技の踊りの動画が送られてきた。「これで奮い立ちました」。史上最年少タイトル保持者を相手に豪腕ぶりを発揮した。挑決は、女流タイトル21期と歴代2位を誇る藤沢とぶつかる。相手にとって不足はない。留守番をしている家族に朗報を届ける。