伊藤匠叡王(22)が斎藤慎太郎八段(32)の挑戦を受ける、将棋の第10期叡王戦5番勝負最終第5局が14日、千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で始まった。午前10時から始まった対局は、各4時間の持ち時間を使い果たして双方1手60秒未満での指し手が要求される「1分将棋」の接戦となった。午後7時38分、120手で後手の伊藤がこれを制した。斎藤の相掛かりからの攻めをうまくしのぎ、反撃に転じて勝利をつかんだ。同学年の藤井聡太8冠(当時)を崩して初めてタイトルを獲得した前期に続き、対戦成績3勝2敗で今期は初防衛を果たした。
「ちょっと苦しい時間帯が長かった。まったく実感はないです」。伊藤の素直な感想だろう。攻勢を仕掛けてきた斎藤に対し、必死にしのぐ。「ちょっと苦しいかと思っていました。うまく勝負できる順を探していました」。反撃の糸口を見つけ、6筋に香を打ち込む。斎藤が軽視していた指し手を機に、局面をひっくり返した。
これでタイトル獲得2期の条件を満たし、八段に昇段した。「あまり意識はしていなかったですけど、よかったと思います」と喜びをかみしめた。将棋界では「タイトルを奪って守って一人前」と言われる。伊藤がその仲間入りを果たした。

