藤井聡太竜王(名人、王位、棋聖、棋王、王将=23)が挑戦者の佐々木勇気八段(31)に3連勝して5連覇まであと1勝とした、将棋の第38期竜王戦7番勝負第4局が13日、京都市「JRA京都競馬場」で行われた。12日午前9時から2日制で始まった対局は、138手で藤井が勝って4連勝で防衛した。これで竜王戦5連覇とし、「永世竜王」の資格を得た。永世竜王は2008年(平20)の渡辺明九段、17年の羽生善治九段に次いで3人目。23歳3カ月での永世3冠(永世棋聖・永世王位・永世竜王)は、羽生の25歳11カ月を上回る史上最年少記録でもある。同時にタイトル獲得通算32期となり、渡辺明九段の31期を上回って将棋界単独4位となった。

終局後、藤井は記者会見に応じた。会見の内容は以下の通り。

ーー初開催の競馬場対局の感想は

藤井 競馬場自体が初めてだったんですけど、対局前日にはふだん見えないところまでご案内いただいて楽しい経験になりました。素晴らしい環境で2日間集中して指せたと思います。

ーーシリーズを振り返って1番いいと思われた対局 藤井 印象に残っている点では第4局です。先手4五歩から先手4六歩と急所を突かれてしまって、そこで何とか勝負手を出して難しい局面を作れたと思うので。苦しいとは思うんですけど、崩れずに持ちこたえることができたんじゃないかなと思っています。

ーー史上3人目の永世竜王についてのイメージは

藤井 非常に名誉のある資格、称号でも思いますし、私自身もそれを目指せる機会は限られていると思っていたので、つかむことができたのはうれしく思っています。

ーー永世3冠は羽生善治九段の25歳11カ月を更新しています

藤井 永世称号の資格は棋戦によりいろいろですが、どれも大変なシリーズが多かったので、そのなかで結果が出せたというのは幸運もあったと思いますし、本局もそうですけど苦しい状況でも何とかあきらめずに指してきたのが実を結んだところもあったかなと思います。

ーー2日制タイトル戦は18戦負けなし。5番勝負は2つ目の失冠。違いは?

藤井 将棋は終盤戦が一番大事ではあるので、(1日制5番勝負の)王座戦では終盤戦での精度が良くなかったというのが結果にも出てしまったと感じています。その背景として実力もあるんですけど、持ち時間の違いもある。それを含めて対応していかなくてはいけないこと。その点は課題ととらえてやっていきたいと思います。

ーー昨年と同じカードで多彩な作戦を受けて立ちましたが、対応してみた感じは?

藤井 今期も佐々木八段にさまざまな作戦、工夫を見せられて、準備の段階では予想が外れるところもあった。2日制では初めてという展開も多かったので、新鮮な気持ちであったり、楽しさを感じながら指すことができたと思っています。

ーー今年のタイトル戦はこれで終わり。来年に向けての抱負は

藤井 まだ来年に向けてという点で具体的な考えがあるわけではないんですけど。感じた課題として終盤、残り時間が少ない状況で迎えた場合があるので、時間配分も含めた戦い方に改善の余地があったと感じています。そのあたりで努力していけるようにと考えていきたいと思います。

ーー前夜祭に出席した日本騎手クラブ会長の武豊さんが、「藤井さんの日々高みを目指して成長していく姿が刺激になる」とおっしゃっていました。影響を与える立場にあるというのはどう感じていますか

藤井 そのように言っていただけるのはものすごく光栄に思います。対局で当然ながらいい時もあれば、なかなかうまくいかない時もあるんですけど、長期的な視点で言うと、少しでも前進していけるようにと意識しているので、これからもそう考えて取り組んでいけたらと思っています。

ーー新しい指し方を盤上で表現されましたが、今期の7番勝負での成果は? 今後も取り組んでいくのか

藤井 佐々木八段の作戦が非常多彩で事前には予想しきれないところがあったので、第1局と第2局はまったく予定通りという訳ではなくて…。考えながらと言う形ではあったんですけど、長い持ち時間であまり指してこなかった形を指すことができて、よい経験ができたと感じています。経験を積んでいくことで、自分自身の将棋の幅を広げて行けたらと考えているので、今後もそういう気持ちをもって指していけたらと思っております。

ーー2日制と1日制、どちらが好きですか

藤井 何というか、どちらかが嫌いということはないんですけど。2日制はタイトル戦に限られるので、特別な舞台という充実感はありますし、対局は何時間あっても足りないというのはよくあるので、難しい局面で時間を使ってできるので、私には向いているのかなというところはあります。1日制自体で苦手と言うことはまったくないんですけど、残り時間が少なくなってきた時に指し手の精度に課題にが残っているというところはあるので、1局を通しての時間の配分をするべきところはあるのかなと思っております。

ーー最後にファンの皆さまに

藤井  本局、中盤戦で苦しくしてしまったと感じながら指し手はいたんですけど、そこで何とか食い付いて難しい局面に持ち込むことができたと感じています。1局通して考えても分からない局面が多かったので、しっかり振り返りをしたいと思います。シリーズを通して得られたものをしっかり生かして、今後ともよりよい将棋を指せるように取り組んでいきたいと思います。