女流棋士の出産予定日前後のタイトル戦を事実上不戦敗とする規定の見直しを求め、日本将棋連盟に要望書を提出した福間香奈女流6冠(33)が10日、大阪市内で会見した。

会見には5人の代理人弁護士が同席し、福間は「ご尽力いただいているみなさま、ファンのみなさまに感謝致します」と述べ、「妊娠・出産は私や女流棋士だけではなく、みなさんに起こり得ることです。いっしょに考えていただければと思います」と問題提起した。

連盟は今年4月、母体への影響を考慮して「タイトル戦の日程に出産予定日の6週間前から産後8週間までの期間が一部でも重なる場合は、対局者を変更する」という新たな規定を設けた。福間は8つの女流タイトルのうち、6冠を保持。第2子を望むと、自動的に失冠する可能性が高い。

強く第2子を望む福間は新規定で出産前後は事実上の不戦敗となることを知ったとして「第2子を持つことは無理だと絶望的な気持ちになった」と述べた。

福間は昨年8月に妊娠を公表。妊娠・出産に伴うタイトル戦の扱いに関する規定がなかったため、連盟と協議を重ねた。タイトルを保持する女流王座戦5番勝負第2局は産後の今年2月17日に延期されたものの、挑戦者の立場だった昨年10月の白玲戦7番勝負と女流王将戦3番勝負はいずれも2回の不戦敗によって、タイトル奪取はならなかった。不戦敗はいずれも妊娠に伴う体調不良が理由だった。

松田真紀弁護士は「福間さんから苦しい状況の相談を受け、いますぐ(新規定を)止めてほしい」と話し、出産するかどうかを自ら決める「リプロダクティブ権」を制約するとして、希望に応じタイトル戦の日程を調整できる制度などを提案している。

9日に要望書を提出。連盟には1カ月をメドに検討結果、あるいは途中経過の報告を求めた。

福間は「これからの少女たちが安心して頂点を目指せる将棋界になってほしい」と願った。

 

◆福間香奈(ふくま・かな)1992年(平4)3月2日、島根県出雲市生まれ。県立大社高卒。師匠は森けい二・九段。04年10月、女流棋士デビュー。現在、清麗、女王、女流王座、女流名人、女流王位、倉敷藤花の各タイトルを保持。女流タイトル獲得は最多の67期を誇る。23年5月、プロ棋士養成機関「奨励会」の元三段、福間健太さんと結婚。来年には女性初の棋士を目指してプロ棋士編入試験に再挑戦する。

 

◆福間香奈女流6冠の不戦敗 昨年12月に長男を出産した前後に予定されていた女流タイトル5棋戦のうち、タイトルを保持していた女流王座など3棋戦は日程が延期され、休業をへて復帰後に防衛した。一方、挑戦者だった白玲戦は2勝2敗となり、第5局、第6局と連続で体調不良で不戦敗。同じく挑戦者だった女流王将戦も第2、3局と体調不良で対局できず、敗退した。