単勝2番人気(2・3倍)のメジロブライト(牡5、栗東・浅見)が、悲願のG1初優勝を飾った。好位キープから直線で力強く抜け出し、重賞4連勝でのG1勝ち。スローペースを読んで早めに仕掛けた河内洋騎手(43)の好騎乗が光った。2着にはステイゴールド(牡5、栗東・池江)が入り、2強対決のライバルで1番人気(2・0倍)のシルクジャスティス(牡5、栗東・大久保正)は4着に敗れた。

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河内の右ステッキがうなりをあげてメジロブライトにたたき込まれる。1発、2発。ベテランの気合に反応したブライトは、直線横一線の大外を一気に伸び、ライバルのシルクジャスティスを一完歩、一完歩と突き放す。ようやくステイゴールドが追いすがってきたが、もうブライトの影はない。2馬身差をつけて楽勝のゴールに飛び込んだ。

「喜びとホッとした気持ちの両方です。思いどおりのレースができました」と河内。スタートでやや出遅れたが慌てず騒がず、中団につける。前を行くジャスティスをぴったりマークし、ペースが遅いとみるや、向正面で前にジワリと出るファインプレー。3コーナーの坂から徐々に仕掛け、直線は「内側は渋っていたので意識的に」外へ。あとはブライトと一体になって追いまくった。「難しい馬じゃないし、よほどの騎乗ミスさえしなければ必ず伸びてくれる。不発に終わることはない」と、愛馬を信頼しきっての騎乗だった。

「河内コール」が響く中、左手を軽く上げて答える。最近は常識とさえなった感のある派手なパフォーマンスはまったくない。だが木訥(ぼくとつ)な43歳にとって、不器用に手を振ることが最大限の喜びの表現。「ヘマせず無事にゴールに持ってこれた」と口ごもる姿に、抑え切れない喜びが表れていた。

天皇賞は1981年(昭56)・春のカツラノハイセイコ以来、17年ぶり2勝目。数々の大レースを制してきたベテランも、G1勝利は1993年(平5)にレガシーワールドでジャパンCを制して以来、約4年半ぶりになる。「もう(G1は)縁がないのかと思う時もあった。これでまた気持ちが切り替えられる」としみじみ。このところ左肩に痛みが走って、先週までは馬を御すのも苦労した。だが今はその不安も去り、「もう大丈夫や」と腕をグルグル回してみせた。

この後ブライトは宝塚記念に向かう予定。今回対戦した相手に加えて、エアグルーヴ、マチカネフクキタル、メジロドーベルらの挑戦を受けなくてはならない。河内は「今回勝ったからといって、次はどうなるかわからん」と気を引き締める。だが、この日のレースがよほど会心だったのだろう、最後は「勝てるように頑張るだけや」とさわやかに笑ってみせた。【栗田文人】

◆メジロブライト ▽父 メジロライアン▽母 レールデュタン(マルゼンスキー)▽牡・5歳▽馬主 メジロ牧場▽調教師 浅見秀一(栗東)▽生産者 メジロ牧場(北海道伊達市)▽戦績 14戦7勝▽総収得賞金 5億5491万5000円▽主な勝ちクラ 96年ラジオたんぱ杯3歳S(G3)97年共同通信杯4歳S(G3)ステイヤーズS(G2)98年AJCC(G2)阪神大賞典(G2)

(1998年5月4日付 日刊スポーツ紙面より)※表記は当時