2020年秋にスタートした「ペダル旅」。電動アシスト付きスポーツ自転車=E-Bikeによる日本一周が第一の目標で、その先にオーストラリア一周を目指すという壮大なプロジェクト。ところが2020年に始まった新型コロナウィルスの感染が世界中に拡大。2021年になるとさらに深刻化していった。新規感染者数拡大を受けて国は緊急事態宣言を発令。東京オリンピックは無観客、僕のペダル旅も大きく影響を受けた。そんなペダル旅の2021年5月~9月を写真と共に振り返ってみる。


2021年5月~8月のペダル旅を振り返る
2021年5月~8月のペダル旅を振り返る

■2021年05月09日

私事で恐縮だが、この日60歳=還暦の誕生日を迎えた。赤いちゃんちゃんこなどを着ることはなく、妻とふたりバースディケーキで静かに祝った。振り返るとあっという間だった60年。子供の頃に20代30代を想像することはあっても、60歳の自分を想像することはなかった。現実的にはリタイヤする人が現れる年齢だが、僕の場合は自分の可能性の広がりを感じていて、いまだやりたいことが山積み、順番待ち状態なのだ(笑)。そんな、やりたいことの現時点のナンバー1がこの「ペダル旅」だった。


■2021年05月14日

日本一周に使うサイクルトレーラーを組み立て(とても簡単)、まずは近所を走る試走ツーリングから始めた。初めてのことなので、どんな感じになるのかわからなかったが、実際にペダルをこいでみると違和感はほとんどなく、走りもスムーズ。これなら大丈夫だと思った。ただ、町を走っていると目立つようで、幼稚園児や小学生たちがガン見、注目の的になっていた。


■2021年06月01日

日本一周をどんな内容のプロジェクトにするか試行錯誤。最終的に世界の人が名付け親になったぬいぐるみをミニバス(サイクルトレーラー)に乗せて日本一周をする「インターネットジャーニー」と決めた。プロジェクトの主旨をまとめた漫画企画の書を制作。WEBを通じて発信した。


■2021年06月13日

サイクルトレーラーを牽いて丹沢湖を一周するロングツーリングを決行。自然豊かな山道や田舎道をたくさん走った。そこで登り坂での体力負担、バッテリーの消耗具合、右折左折やカーブなど、サイクルトレーラーによる変化や走り方をチェックした。ちなみに写真はその時に食べた「ざる蕎麦」。


■2021年06月18日

インターネットジャーニーに向けて、手持ちのぬいぐるみで撮影の練習を始めた。ぬいぐるみをどこへ置いてどのアングルから撮影すると引き立つか? E-Bikeとぬいぐるみをどういう配置にすると、旅してる感が伝わるか?…などなど、スマホ画面を見ながら、あーでもない、こうでもないと独り言。元々写真撮影が好きなので、とても楽しい時間だった。


■2021年07月14日

インターネットジャーニーのプロジェクトを、電動アシスト付き自転車の生みの親でもある「ヤマハ発動機」が応援してくれることが決まった。大きな第一歩。嬉しいことに大容量バッテリーを搭載、フラットハンドルでリアキャリアとフェンダーを標準装備したYPJ-TCを提供していただけることになった。キャリアにサイドバックを取り付ければ、そのままロングツーリングに出かけられる、理想的なモデル。ぐっと現実味が湧いてきた。着々と準備は進んでいたが、コロナ感染は深刻化、7月8日には東京オリンピックの無観客開催が決定。7月12日から4回目の緊急事態宣言期間へ入った。


■2021年07月17日

旅本番で使うヤマハYPJ-TCにサイクルトレーラーを接続して宮ケ瀬ダムまで60キロの練習走行。フラットハンドルはバランスが取りやすく走りが安定。YPJ-TCはベストチョイスだと確信した。ただ10キロを越えるサイクルトレーラーの負担は想像以上で、急勾配の登り坂では最も軽いギア、最も強力なアシストモードにしてもきつかった。体力以上に脚力の必要性を感じたのも事実だった。


■2021年08月05日

どのような方法でサイクルトレーラーを「ミニバス」にするか? 思案をした結果、自作することにした。ネットで大きなカラープラバン、透明アクリル板、強力な両面テープなどを購入。材料が揃うと制作を始めた。元々、図画工作は好きだが、プラスチック素材でこれほど大きなものを作るのは初めて。また自転車で引いて走るので造りが丈夫で、雨風にも強くなくてはいけない。難関が多いほど燃えるタイプなので、しばらくはミニバス制作に没頭した。


■2021年08月09日

5日かけて完成したミニバスは想像以上の完成度で、自分的には80点の出来栄えだった。はい自画自賛です(笑)。このバスの中にぬいぐるみが並ぶのかと思うと夢が膨らむ。ところがこの頃から、デルタ株の影響でコロナの感染者数が急増。緊急事態宣言の実施地域は増え、さらに緊急事態宣言の期間も延期となった。いろいろ悩んだ末、このような状況下で県境をいくつも越える日本一周旅行は不適切と考え、9月出発予定の日本一周を来年へ延期することを決めた。まさに苦渋の決断だった。


■2021年08月24日

日本一周の延期は決めたが、体力は維持したいので感染予防をしながら近郊の旅は続けた。そこでやってみたのが富士山一周。須走をスタート地点にして時計回りで一周を目指したが、最後の最後、篭坂峠へ向かう途中でバッテリーを使い切り、最後は押して登る羽目に(笑) もっと計画的にバッテリー消耗を考えながら走っていれば…と後悔した。その後は余裕をもって、予備バッテリーを持参するようになった。【藤原かんいち】


※次回は2021年9月~12月を振り返ります。