ハリウッドセレブに人気のオーガニックスーパー大手「ホールフーズ・マーケット」がアマゾンに買収されてはや一年。アマゾンブランドの影響力が増したことで、お店の雰囲気や客層、商品ラインアップや値段などに徐々に変化が表れています。店内にアマゾンロッカーが設置されたり、ガジェット販売を開始するなど、この1年の変化を改めて振り返ってみました。

プライム会員はお得ですと書かれたボードが目立ちます
プライム会員はお得ですと書かれたボードが目立ちます

●価格競争による値下げ

アマゾンに買収されたことによる一番大きな変化は、商品が安く買えるようになったこと。これまでは他の大手スーパーと比べても割高だった野菜や果物、牛乳など生鮮食品の値段が格段に安くなりました。20%~半額くらいになった物もあります。以前はオーガニックだから多少高くても良い物を買いたいという人で溢れていましたが、今では普通のスーパーと変わらずに気軽に買い物ができるスーパーとなったように感じます。

黄色いセールのサインがある商品は値札からさらに10%オフに
黄色いセールのサインがある商品は値札からさらに10%オフに

●アマゾンプライム会員特別割引

店内のいたるところに「アマゾンプライム会員割引」の看板が設置され、会員はセール商品からさらに10%オフとなる特典が。また、会員限定の特別割引が適用される商品もあり、アマゾンプライム会員ならお得に買い物ができます。さらにアマゾンプライムVISAカードで支払いをすると、5%がポイントとして還元される特典も。プライム会員であることを証明するためにあらかじめスマートフォンにホールフーズ・マーケットの公式アプリをインストールしてプライムアカウントでログインし、レジのQRコードをそのアプリでスキャンすると特別価格が適用されるシステムとなっています。

青の看板の商品はプライム会員だけが特別料金で買える目玉商品。高級な肉や魚が安くなることも
青の看板の商品はプライム会員だけが特別料金で買える目玉商品。高級な肉や魚が安くなることも

●アマゾンロッカーの設置とプライムナウデリバリー

店内には大きなアマゾンロッカーが設置され、買い物ついでにアマゾンの商品を受け取ることが可能に。このロッカーで商品の返品もでき、アマゾン利用者にはますます便利になりました。もちろん、アマゾンでホールフーズの食品の購入もできますし、プライム会員は当日宅配サービスプライムナウを利用し、2時間ほどで商品を自宅まで無料宅配してもらえるようになりました。

店の入り口横には大きなアマゾンロッカーが。荷物を受け取るついでに来店する客が増えたといいます
店の入り口横には大きなアマゾンロッカーが。荷物を受け取るついでに来店する客が増えたといいます

●品質と客層

ホールフーズの生鮮食品は品質の良さに定評があり、他のスーパーの同じ野菜や果物よりも高品質で、安心安全なオーガニックであることを売りにしてきました。値段は少々高めですが、それでも顧客たちはホールフーズを選んで買い物に出かけていましたが、今ではその品質に疑問を投げかける声が出ています。「値段が下がった分、品質が下がった」「味に変化を感じる」「新鮮ではないと感じる」「値段が安いので本物のオーガニックかどうか疑わしい」などといった声が出始めているのです。また、「ノンオーガニックの商品が増えた」「プライベートブランドの商品が増えた」などという意見も。プライム会員特別価格の商品がすぐに売り切れたりするなど、一般の客にとっては欲しい物が買えないという状況もあったりするようです。価格が下がったことやアマゾン効果で、これまでホールフーズには足を運ばなかったような人たちも買い物に訪れるようになった一方で、一部の顧客のホールフーズ離れも進んでいるといわれています。

新鮮なオーガニックが売りだった野菜も価格が安くなり、買いやすくなった一方で、品質の低下を訴える声も出始めています
新鮮なオーガニックが売りだった野菜も価格が安くなり、買いやすくなった一方で、品質の低下を訴える声も出始めています

一方で、買収効果によってホールフーズの売り上げは確実に伸びており、2018年度の売り上げが10億ドルほど増える見込みであると経済誌フォーブスは伝えています。小売り大手のウォルマートと価格競争でも真っ向勝負を挑んでおり、今後ますますアマゾン色が強くなっていくことでしょう。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)