新型コロナウイルスの感染が世界中でいぜん猛威を振るう中、東京オリンピック(五輪)まで半年を切り、開催の是非や観客の受け入れ方法など様々な課題が論議されていますが、ここアメリカでは今週末に開催される最大のスポーツイベント「スーパーボウル」を巡り、安全に観戦するためのガイドラインが発表されました。毎年2月の第1日曜日に行われる米プロフットボールリーグ(NFL)の王者を決めるスーパーボウルは、アメリカ人にとって1年でもっとも盛り上がるイベントの一つで、家やスポーツバーなどに集まってみんなで観戦しながらパーティーをするのが恒例。試合が始まる時間帯には街中から人が消えるほど、アメリカ中の人が観戦を楽しみにしています。

スーパーボウルはフットボールファン以外の人も楽しむ一大イベント
スーパーボウルはフットボールファン以外の人も楽しむ一大イベント

カンザスシティー・チーフスとタンパベイ・バッカニアーズが対戦する今年のスーパーボウルは、フロリダ州タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアムで開催されますが、感染予防対策のためスタジアムの観客数は最大収容人数のおよそ33%に制限され、史上最低となる2万2000人の観客を入れての試合になることが発表されています。そのうち7500人はワクチン接種済みの医療従事者が招待されていますが、会場内では常にマスク着用が義務付けられ、ハーフタイムや試合開始前後など混雑時のトイレや売店の使用を避けることなど様々な規制が設けられています。

コロナ禍の今年は自宅で同居する家族とのみ観戦するよう求められている
コロナ禍の今年は自宅で同居する家族とのみ観戦するよう求められている

試合開始は東部時間午後6時半で、ここロサンゼルス(LA)では午後3時半からになります。多くの人が昼間から集まってスーパーボウル・パーティーを開き、食べたり飲んだりしながら試合までの時間を過ごすのがアメリカ流の観戦方法ですが、コロナ禍の今年はスーパースプレッドイベントになる可能性が高いことから米疾病対策センター(CDC)が、「試合は自宅で、同居する人とだけ一緒に観戦」と求めるなど、安全な観戦を呼びかけています。

LAでは観戦パーティー抑止のため、飲食店でのテレビ設置は禁止されている
LAでは観戦パーティー抑止のため、飲食店でのテレビ設置は禁止されている

アメリカではクリスマスから新年にかけて人が集まったことで爆発的に拡大した感染がようやくピークを越えて減少傾向に転じている中、再びスーパーボウルで感染が拡大することが懸念されています。第一に考えられるのは、季節が真冬だということ。LAや開催地のフロリダ州など一部の地域を除いて、屋外での観戦は難しく、換気の不自由分な室内に多くの人が集まる可能性が高いことが理由です。さらに多くの場合、家族だけでなく、友人や知人ら大勢で集まって観戦するのが恒例となっていることも感染リスクが高いと言われるゆえんです。また、スポーツバーなどでは不特定多数の人が同じ空間に集まるため、より感染のリスクが高く、LAではレストランやバーなどでテレビを設置することを禁止しています。CDCでは、オンラインによるビジュアル観戦パーティーの開催を推奨しているほか、少人数で集まって観戦する場合には屋外で行うことや参加者全員がマスクを着用すること、大型スクリーンを使用するなどして互いにソーシャルディスタンスを確保して手洗いを徹底することなども求めています。

酔っぱらって大声を出さないようアルコール摂取も制限するよう求めている
酔っぱらって大声を出さないようアルコール摂取も制限するよう求めている

観戦パーティーでは、他にも食べ物や飲み物を他の人とシェアすることも避けるべきだと警告されています。パーティーではポットラックと呼ばれる参加者が料理を一人一品持ち寄るスタイルを取ることが多く、ピザやバファロー・ウィング、スナック菓子などを大皿でシェアし、手づかみで食べることが多いことも感染リスクが高まる要因だと指摘されています。また、主催者は飲み物も大きなペットボトルのソーダやアルコール類などを用意することが多いことからそこからの感染も懸念されるため、CDCは飲食を伴う場合は各自が自分で持参してきたものを別々に食べたり飲んだりするよう求めています。また、アルコールによって感染対策を守らなくなったり、大きな声で叫ぶことも考えられることから、CDCはアルコールの摂取も制限するよう呼び掛けています。

CDCのHPに掲載された安全に観戦するためのガイドライン
CDCのHPに掲載された安全に観戦するためのガイドライン

国際オリンピック員会(IOC)が先日発表した五輪大会に関するルールブックで観客に対して歌や声を合わせての応援はしないよう求めていますが、CDCも試合が盛り上がっても声援を送ったり、叫んだりはせずに拍手や足踏みにとどめることなどをガイドラインに盛り込んでいます。これが、今後のニューノーマル時代のスポーツ観戦の新たな指針となっていくのか注目したいところです。感染拡大は避けられないのでは?と言われる今年のスーパーボウルですが、ガイドラインをどれだけ多くの人が守れるのかも今後の課題となりそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)