叱るときに使ってはいけないNGワードが4つあります。

 1つは過去を持ち出す言葉です。「前から言っているけど」「何度も言っているけど」。自分がいかに正しいかを強調する言葉です。言われた側は「何で今更」と不信感を持ちます。前回、お話ししたように叱ることはリクエストを伝えることです。不信感を持たれると、リクエストは通りにくくなります。

 2つ目は「何で?」です。「何でできないんだ」「なぜやらないんだ」。威圧的で言われた側は責められたと思います。強い口調で責められると、出てくる言葉は言い訳か逆ギレになります。問いただしたくなる気持ちも分かりますが、問題解決に必要なのは「どうしたらできる?」「何があればできる?」など未来を聞く言葉です。

 3つ目は「いつも」「絶対」「必ず」といった強い表現です。「いつもそうじゃないか」。一方的に決め付けられると、言われた側は反発します。

 最後は「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」など程度を表す副詞です。「ちゃんとやれ」「しっかりしろ」。叱られる側はどのレベルを言っているのか分かりません。「ちゃんと報告してくれ」ではなく「この数字について報告してくれ」。感覚ではなく具体的に伝えましょう。

 「前から言っているけど、何でお前はいつもちゃんとしないんだ」というようなNGワードだらけの叱り方をしている人は多いのではないかと思います。リクエストが伝わるどころか、反発され、逆効果になるだけです。練習すれば、NGワードを使わずに叱れるようになります。