<心臓・血管を若々しく保つコツ(1)>

 日本の食卓には魚料理は欠かせません。特にマイワシ、アジ、サバ、サンマ、マグロ、ブリといった青背の魚は人気が高い。その青背の魚にはすでに有名な脂肪のEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。

 この2つの成分には、血中の中性脂肪や悪玉のLDLコレステロールを減らす働き、血小板の凝縮を抑える働きなどがあります。すると、血液がサラサラになるので脂質異常症、高血圧が改善され、動脈硬化も抑えられます。そして、その先にある狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、閉塞(へいそく)性動脈硬化症などの血管系の疾患が抑えられることになるのです。

 EPAに最初に注目したのはデンマーク・オールボア病院のダイアベルグ博士。魚やアザラシを主食とするイヌイットの調査を10年にわたって行ったのです。それはイヌイットの人々が野菜などの摂取が極めて少ないにもかかわらず、血栓症が少ない点を解明するためでした。そして、発表されたのが次の内容でした。

 「イヌイットに血栓症が少ないのは魚やアザラシを食べているからだ。魚やアザラシに含まれているEPAが血栓症や動脈硬化を防いでいる!」

 これには世界中の人々が驚かされました。

 その発表以降、EPAとDHAの研究は多くなり、認知症の予防・改善、アレルギーの予防・改善、抗がん作用、視力の向上など数多く報告されています。ただし、EPA、DHAを摂取しすぎるのも問題。傷口からの出血が止まりにくくなります。夕食のメインが週に5日程度が魚になるようにすると血管系の疾患対策としては十分です。そして、EPA、DHAには“酸化されやすい”弱点があります。だから、青背の魚は新鮮なうちに食すようにしましょう。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)