SASで脳&心疾患リスク増/照山裕子の健康連載

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<防げフレイル!人は口から老いていく(33)>

日本呼吸器学会によると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられ、男性では40~50代が半数以上を占めます。女性では閉経後に増加する傾向にあるようです。

睡眠時に無呼吸を繰り返すことは体に負担をかけ、さまざまな合併症を引き起こす要因となります。成人SASでは高血圧、脳卒中、心筋梗塞などの危険性が3~4倍高くなり、特にAHI(無呼吸低呼吸指数)が30以上の重症例では、心血管系疾患発症の危険性が約5倍にもなるというデータが出ています。適切な治療を施すことで健康な人と同程度まで死亡率を下げることが可能といわれているので、兆候があれば早めに医療機関を受診するようにしてください。

SASの治療法として、体重過多が原因である場合は、まず減量を目指します。しかし、無呼吸が軽減する可能性のある10キロ単位での減量は、現実的にかなり厳しいといわざるを得ません。このため、AHIが20以上で日中の眠気を認めるケースでは、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)が標準的治療とされています。CPAPは持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる呼吸補助器具を鼻に取り付けます。毎日の体調や体位によって変化する無呼吸の程度に対応することが可能です。

上顎よりも下顎を前方に移動させた状態で固定することで、上気道腔(くう)を確保する口腔内装置(OA)を使用して治療することもあります。CPAP適応とならない軽症から中等症のSAS患者が対象で、上下顎の歯型に合わせたスプリントを固定し、一体型にしたものであれば、健康保険の範囲内で治療を受けることができます。この装置は習慣性のいびき治療にも使用されます。一体型だと圧迫感があるという方には、独立した上下顎スプリントを作製することも可能です(この場合は保険適用外になります)。

◆照山裕子(てるやま・ゆうこ)歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。分かりやすい解説はテレビ、ラジオでもおなじみ。昨年出版した「歯科医が考案・毒出しうがい」(アスコム)は反響を呼び、ベストセラーとなった。近著に「『噛む力』が病気の9割を遠ざける」(宝島社)。女性医師のボランティア活動団体「En女医会」会長。

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