マスク生活も2年以上が過ぎ、「ぽかん口」が常態化している傾向にあると言われています。こうしたいわゆる口呼吸に端を発し、以前は頻度が少なかった患者さんからの訴えをクリニックで多く耳にするようになりました。
「口が渇きやすい」「舌がヒリヒリする」「口の中がねばつく」「口臭が気になる」「舌がはりついて話しづらい」など、唾液分泌や循環する唾液量に何らかのトラブルがありそうな相談です。
汚れを洗い流したり傷を修復したり、外敵を退治したりと、唾液には実に素晴らしい効能がある一方で、こうしたメリットを享受できない口の中にはさまざまな不具合が起きます。虫歯や歯周病といった細菌が引き起こす病気のリスク上昇はもとより、味覚障害や義歯不適合、食欲の低下など多岐にわたります。
このため自分の口の渇き具合を知ることは、予防医療の観点からも非常に大切と考えてください。口が渇く疾患は「口腔(こうくう)乾燥症」と総称されており<1>神経性あるいは薬剤性のもの<2>全身疾患あるいは代謝性のもの<3>唾液腺自体の機能障害によるもの、に大別されます。
現在、国内で使用されている薬剤の約半数に唾液分泌低下あるいは口腔乾燥の副作用が報告されているとも言われ、アレルギー薬や解熱鎮痛消炎剤など、身近にある薬剤でも症状が出る可能性は大いにあります。糖尿病や甲状腺疾患等がある方は<2>にあてはまります。頭頸部(けいぶ)への放射線治療の影響や、シェーグレン症候群という疾患で生じる口腔乾燥は<3>です。原因がどれか1つというわけではなく、薬剤の副作用と口呼吸とストレスが重なって結果的に口がとても渇いている、といったケースもあります。原因をしっかり見極め、唾液による防御機能を損なわないことは、健やかな生活を送る要です。

