心臓ロボット手術(心臓ロボット支援手術=ダヴィンチ)を受けた患者さんのケース。今回は3人目のケースを紹介します。

40代のCさん(男性)は会社役員。僧帽弁閉鎖不全症を患っていて、階段を上ると息切れがし、疲れやすくなってせきが出るだけにとどまらず、不整脈が起こることでの動悸(どうき)も出て、かなりつらい状態でした。Cさんはダヴィンチでの「身体に優しい手術」を希望され、受診されました。手術について説明し、Cさんは納得して入院。手術は問題なく終わり1週間後に退院されました。

そして3年後、僧帽弁に歯周病菌がついて、Cさんは「感染性心内膜炎」を発症しました。心内膜炎は心臓の内側を覆っている膜に炎症が生じるのですが、特に起こしやすいのが僧帽弁。症状は発熱のほかに、疲労や倦怠(けんたい)感などもみられます。

Cさんは受診されて入院。歯周病菌は薬で消すことはできたのですが、歯周病菌が僧帽弁の一部を食べてしまい、血液の逆流が始まっていたのです。この場合の僧帽弁の手術は、患者さんの組織を使って治療する形成術ではなく、人工弁に置き換える弁置換術です。ところが、Cさんの強い要望で、心臓ロボット手術を行うことに。僧帽弁形成術になりました。

Cさんは会社の上場の準備を任されていて、時間がなかったのです。それで、心臓ロボット手術にこだわられたのです。術後1週間、「よーし、しっかり会社を上場させます!」と笑顔いっぱいで退院されました。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)