アインシュタインにより原理が発表され、1960年に1号機が製造されたレーザー装置は、バーコードスキャナーや距離計、ポインターなど現在では日常生活の中にあふれています。

医療の世界ではレーザーメスを使用することで、通常のメスや電気メスでは出来なかった、細かな切開や出血させずに組織を切除や焼灼(しょうしゃく)する事が可能になり、切除・焼灼後の周辺の腫れが極めて少ないことから、脳外科での腫瘍の蒸散や内視鏡下での止血・腫瘍蒸散に使われ始めました。当時は切除や焼灼ができなかった細かな組織を切除・焼灼することが可能になったため、神の手などと呼ばれました。その後装置が小型化され、通常の100ボルト電源での使用が可能となり、いわゆるレーザーメスとして普及してきています。出血しやすい組織や術後の痛みの軽減が重要な部位に対して、時には従来のメスや電気メス、超音波メスと組み合わせて使われてきています。現在では炭酸ガスレーザーと半導体レーザーが中心として使用されています。

耳鼻咽喉科でレーザーメスが特に有効なのは出血しやすく、術後の痛みの軽減が重要な組織である舌、口蓋垂(のどちんこ)、軟口蓋(のどちんこの奥の粘膜)、下鼻甲介(鼻の粘膜)、喉頭、頸部(けいぶ)食道、頸部(けいぶ)リンパ節などの切除や凝固・蒸散です。レーザーメスなくしていびきの日帰りレーザー治療は不可能といって良く、他のメスを使用した場合には1週間程度の入院が必要になる手術になります。

次回は内視鏡下でのレーザー治療に関して説明します。

◆都筑俊寛(つづく・としひろ)コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、フランス国立神経学研究所客員教授、医学博士、日本耳鼻咽喉科認定専門医。01年よりいびき、鼻アレルギーに対するレーザー日帰り治療に特化を始め、レーザー日帰りいびき手術の総件数は2万4000例を超える。現在はエクソソームを活用した老人性難聴の治療や難病の予防、QOL改善にも取り組んでいる。