「膀胱(ぼうこう)がん」に限らず、がんは早期発見することができないと臓器を切除することになります。今回は「膀胱全摘除術」を紹介します。

膀胱の壁は内側から「粘膜」「粘膜下層」「筋層」「脂肪」となっていて、膀胱を全摘する状態はがんが膀胱の筋肉である「筋層」に浸潤した患者さんです。病期としては「T2」「T3」。T2は「がんが膀胱の筋層に浸潤している」状態で、T3は「がんが膀胱の筋層を越えて周囲の脂肪組織に浸潤している」状態です。これより進行してがんが遠隔転移してしまうと膀胱全摘除術は行いません。転移がリンパ節の段階までであれば、手術が可能な場合もあります。

また、前回取り上げた再発予防のために行われる「BCG注入療法」で、BCGで効果がない場合は再度BCG注入療法を行うこともあります。が、それで有効性がなければ、この場合も膀胱を取ることになります。

膀胱全摘除術が適応になるのは、<1>「がんが筋層を越え、転移はリンパ節までにとどまっている」、<2>「BCG注入療法で治らない」、<3>「粘膜下層までのがんが経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)後も残っている」患者さんです。

膀胱全摘除術は開腹手術で行うところもありますし、ロボット手術で行うところもあります。腸がすごく癒着している患者さんの場合は開腹手術になりますが、今日ではほとんどがロボット手術でできます。

取り除く臓器は膀胱だけではありません。男性は膀胱、精嚢、前立腺、尿道まで取ります。女性の場合は膀胱、子宮、卵巣、膣の一部、尿道まで取ります。この時点で男女ともに尿は出せなくなりますので、尿路を変更することになります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)