「ロボット手術」は“身体に優しい”ことから、肺がんでも手術の中核になっています。ただし、すごく早期に発見されると、肺がんでも手術をすることなく治せる治療法があります。

その治療法とは「光線力学的治療(PDT)」。レーザー光線を当てて行うレーザー治療の一種です。この治療が適応となる肺がんは、「がんが太い気管支にできている」「がんの大きさは1センチ以下で、がんの深さは3ミリ以下」「組織のタイプは非小細胞肺がん」に限られます。

PDTが適用となると、治療が受けられます。まずは、レーザー光線照射前に光感受性物質(レザフィリン)を患者さんに投与すると、それががん組織にグンと多く集まります。そのタイミングで口からレーザー照射装置を付けた気管支鏡を挿入し、がん部分にレーザー光線を当てるとがん部分が光り、それを確認してレーザー光線を照射して治療をします。

レザフィリンはレーザー光線に当たると光化学反応を起こして活性酸素を発生させます。その活性酸素ががん細胞を破壊するのです。ただ、光感受性物質を使っているので患者さんは光過敏症を起こします。レザフィリンは光過敏症を起こしにくい薬ですが、やはり、紫外線対策は必要です。入院中は直射日光の入らない病室で過ごします。

早期の中心型肺がんに対する治療のPDTは、1996年から保険適用になっていますが、患者数は極めて少ないのが現状です。1センチ以下の中心型肺がんは、症状で気付くことはありません。「他の病気が疑われて気管支鏡を行い、偶然発見された」「検査でCTを撮ったらたまたま肺がんが映っていた」ということで発見されると思います。そのようなケースになるのは、それはそれで幸せなことだと思います。

ただ、PDTを行っている病院は少なく、私どもも行っていません。PDTの対象になる患者さんがPDTを希望された場合は、この治療を世界で最初に応用した東京医大病院を紹介しています。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)