「更年期」は女性特有のものだと思っていませんか。実は男性にも、加齢に伴うホルモンの変化によって心身に不調が表れることがあります。そして更年期の特徴として意外と知られていないのが「口の中」の変化です。「最近、口が乾きやすい」「食べ物の味が変わった」といった症状を単なる年齢のせいだと片づけていると、老化が進んでしまうかもしれません。
女性の場合、閉経前後でエストロゲンという女性ホルモンが大きく減少します。2025年に発表されたレビューによると、更年期と口の健康を扱った30件の研究を検討した結果、口の乾燥や味覚の変化が多く報告されたと記されています。歯周組織や歯を支える骨の状態との関連も調べられました。
ただしここで注意したいのは、更年期だから必ず唾液(だえき)が減る、歯周病になる、というわけではない点です。口が乾く感覚と実際の唾液量が必ずしも一致するわけではないのです。加齢による体の変化、持病による服薬、ストレスや口呼吸など、さまざまな要因が重なって起きることも多いのです。
唾液には食べ物をのみ込みやすくするだけでなく、口の中を洗い流し、酸を中和して歯を守る働きがあります。乾燥が続けば食事や会話が滑らかにできないだけでなく、虫歯や歯周病、口臭といった口周りのトラブルを加速させる可能性も。パサパサした食品が食べにくい、口がねばつくといったサインを見逃さないようにしてください。
服薬の影響が考えられる場合、自己判断で中止せず、処方した医師に相談しましょう。種類を変えることで解消されるケースもありますので、全身のバランスを鑑みながらうまく付き合うことが大切です。
簡便な対策として<1>水分をこまめに取る<2>よく噛(か)んで食べる(唾液を出す)のふたつがあります。刺激の強い洗口液や歯磨き剤がしみるようなら避けましょう。

