フィギュア女子のカミラ・ワリエワ(15=ROC)の問題を裁いたスポーツ仲裁裁判所(CAS)は、84年に国際オリンピック委員会(IOC)によって創設された。スポーツには、国の裁判所を通じた解決には適さない問題が数多くある。今回のワリエワのドーピング規則違反による資格停止処分などが、それに当てはまる。

CASは、94年にIOCから独立。現在は、第三者機関として、スポーツ仲裁国際理事会が運営する。日本も、03年に日本スポーツ仲裁機構(JSAA)が設立され、13年には公益法人化。国内のスポーツ紛争を扱っている。

CASの本部はスイス・ローザンヌにあるが、五輪期間中は、調停のスピードを重視するため、出張所を五輪を行っている都市に置き、早期解決に当たる。

CASは申し立てを受理すると、すぐに担当する仲裁人を選定する。その仲裁人が聴聞会を開催し、本人や関係者から聴聞を行う。ローザンヌの本部で仲裁を行う場合は、1週間程度の時間がかかるが、五輪期間中の申し立てには24時間以内に対応するという目安がある。【吉松忠弘】