五輪は小さい頃からの夢でしたが、リアルな目標になったのは大学に入ってから。ずっと目標にはしていますけど、現実が分かってちょっと厳しいかなって思っていました。でも大学で一気にタイムが上がって、3年の時、04年アテネ五輪の選考会では、もう俺行っちゃうんだろうなって思っていました。結果3位でギリギリいけませんでしたが、今思うと覚悟が足りなかったですね。次の08年北京五輪も狙えるかってどこか思っていて、何が何でもっていう気持ちが足りなかった。

4年間というのは選手にとって絶妙なんです。5年だと絶対ないし、3年だとがんばれちゃう。北京は25歳の年でした。3年間ベストタイムが出ず、北京五輪前年の世界選手権も逃して…。あと1年だからやれることは全部やろうと、吐くまで泳ぎこみましたし、やることを全部やって臨みました。準決勝でチャレンジしてベストが出て、参加標準記録を切って、あとは決勝で勝負するだけ。決まったときは安堵(あんど)の気持ちでしたね。

五輪は田舎の子がディズニーランドに来た感じです。ミッキーのマークが五輪のマークで、トイレとかレストランとかいたるところにある。アトラクションが楽しみで仕方ないんですよ。予選どうやって泳ごう、準決勝どう泳ごうとか。メドレーリレー含めて5回泳ごうって決めていました。

自国開催は率直にうらやましい。水泳会場のアクアティクスセンター。満員になって応援されたらアドレナリン出るんだろうな。延期になりましたけど、前から運命として決まっていたと思うしかない。マラソンでいったら42・195キロ走って倒れそうなのに、あと10キロ長くなりましたっていうようなものですから、かわいそうですよね。

今回延期になったことで、五輪って必ずしも必要とされるものではないんだなって感じました。何が何でもっていうのではなくて、みんながしっかりやりたいっていう気持ちが整ってからやって欲しいです。

選手には後悔なく全力でつかみ取って欲しいですね。僕が1回覚悟がなく逃しているので、覚悟を持ってやって欲しい。応援する人は五輪代表に決まる前から推しメンを決めてみるっていうのはいいかもしれない。何歳で競技を始めたんだろうとか調べて。そうすると本番でスゴイ熱が入って見られるんじゃないかな。(327人目)