世界に誇るパラアルペンスキーの「3本の矢」が複数の金メダルを狙う。9日に開幕する平昌パラリンピックアルペンスキー男子座位の狩野亮(31=マルハン)、鈴木猛史(29=KYB)、森井大輝(37=トヨタ自動車)が6日、選手村で記者会見を行った。

 10年バンクーバー大会と14年ソチ大会のスーパー大回転金メダルの狩野、ソチ大会回転金メダルの鈴木、金メダルこそないがW杯2年連続総合優勝の森井と抜群の実績を誇る3人。高速系、技術系、オールラウンダーと三者三様の武器で世界と戦い、過去3大会で3人の合計メダル数は11個に上る。

 スーパー大回転で3連覇が懸かる狩野は「過去の肩書は意味がない。今は初日(10日)の滑降をしっかり見据えている。そこでベストを尽くして、次(11日)のスーパー大回転につながる」と冷静に分析した。回転で2連覇に挑む鈴木は「ソチ大会よりも難しくなっているからこそ、面白いしメダルの価値も上がる。新たなチャレンジで臨みたい」。後輩2人を横目に森井は「2大会前から変わっていない。『何とか金』。そのために頑張る」と気合を入れた。

 狩野と鈴木は“兄貴”こと森井の背中を追って切磋琢磨(せっさたくま)してきた。森井は健常者の競技で主流の1本のラインを描くように曲がる「カービングターン」の技術を持ち込み、チェアスキーの開発にも尽力。それを後輩2人に伝授した。今大会では3人が表彰台を独占する可能性も十分にあり得る。仲間であり最大のライバルでもある「3本の矢」の戦いが間もなく始まる。