【パリ27日=木下淳】元世界ランキング1位の永山竜樹(28=SBC湘南美容クリニック)が、初戦の2回戦をいきなりゴールデンスコア方式の延長戦の末、突破した。ブラジル選手を相手に規定の4分間では決着つかず。相手の守りに苦しめられたが、主導権は譲ることなく計7分37秒、指導3による反則勝ちで準々決勝に駒を進めた。

パリ五輪代表の男女14選手で唯一、志願して出場した5月の世界選手権でまさかの初戦敗退。反省を生かした。

今回の代表は、尊敬し、背中を追い続けてきた先輩から勝ち取った。前回21年東京五輪金メダルの高藤直寿(パーク24)。昨年のグランドスラム(GS)東京大会の決勝で一本勝ちし、パリ切符をつかんだ。

東海大の3年先輩、東京オリンピック覇者、高藤を一本背負い投げで沈めた。 「やっとここまで来られた。高藤先輩に勝って代表にならないと意味がない、と思っていたので」

思い返せば、東京五輪の代表も高藤と争い、GS大阪で完敗。夢破れた。以降は国内ですら、勝てなくなった。全日本選抜体重別で初戦敗退も喫した。「このまま終わっちゃうのかな」「いや何か変えなければ」。苦悩の末に23年4月から2カ月弱、自費でフランスへ武者修行に出た。

「柔道というより人間として成長したくて」。昨年の世界選手権を制した高藤がパリ路でもリードしていたが、永山は、ひとり異国で「ほぼほぼ諦めかけていた」気持ちが上向いた。

全日本男子の鈴木桂治監督からも「次、負けたら終わり」と突きつけられていた。背水の状態で、今回の五輪の開催国フランスで、切り替わった。帰国後の8月にマスターズ大会で優勝するなど国際大会2連勝で猛追。高藤との4年ぶりの直接対決を制し、高藤から頭をなでられ「頑張れよ」と託された、パリの畳だった。

国内の代表争いが、そのまま世界一決定戦となる日本の宿命か、東京五輪は世界ランク1位で逃したが、金メダルを取る自信はあった。「日本の誇りを持って自分らしい柔道を」。156センチの体を、夢だった舞台で躍動させる。先輩との最軽量級2連覇へ、まず準々決勝に進んだ。