パリ五輪サッカー女子日本代表なでしこジャパンDF北川ひかる(27=INAC神戸)がナイジェリア戦で初めて五輪のピッチに立ち、代表初得点まで奪った。
金沢市の菊川FC Jr.の後藤保秀コーチ(50)は、うれしそうに北川の小学時代を語った。「全く男子に物おじしなかった。男子に負けない気持ちとサッカーが大好きという印象です」。
元々、北川は市内の女子チームでプレーしていたが、頭一つ抜けており、小学4年の7月に菊川FCに加入したという。チームとして初めて受け入れる女子選手だった。最初は周りの選手から遠慮される部分もあったというが、プレーで認められた。「男子たちもこれじゃあいかんと。全然遜色ないレベルで、うまい選手からパスをやろうとか言われていました。プレーで証明していましたね」と振り返る。スピードもテクニックも男子に引けを取らず、地域の選抜にも選ばれるほどだった。
唯一の女子選手だったが、負けず嫌いはチーム一だった。試合に負けると、泣いて悔しがった。あっさりしているチームメートを「お前ら悔しくないのか!」と鼓舞し、リーダーシップを発揮していた。負けず嫌いな性格は今も変わらない。後藤さんは、五輪前に北川はチームに顔を出してくれた時の出来事を笑いながら明かす。「1回、股の下を抜かれて1対1で子どもに負けたんですよ。次にやり返すんです。子どもでも手加減ない」。子ども相手にも本気で悔しがっていたという。
北川は中学1年で地元を離れてJFAアカデミー福島に進んだ。そこからプロサッカー選手になる夢をかなえたが、全てが順調ではなかった。なでしこジャパンには定着できず、クラブでも悩んでいる様子を後藤さんは遠くから見守っていた。それが今年2月に1年半ぶりに代表復帰すると、一気に五輪代表まで駆け上がった。「諦めずに信じてやってきたのがこういうことになったのかな」と北川の思いを推し量った。7月13日に壮行試合が金沢で行われたことには「ドラマみたいなストーリー。ひかるのための試合ではないかと、それくらい感動している」と感慨深そうにした。
地元の星となった北川はチームの卒団文集で「なでしこJAPAN」「オリンピック出場!」という2つの夢を書き残したという。それに対して後藤さんは「日本一の負けず嫌い、世界一の負けず嫌いになってください」と記した。世界一まで、あと3つ。「ひかるらしく楽しくプレーをしてほしい」と教え子の活躍を願っている。【佐藤成】
◆北川(きたがわ)ひかる 1997年(平9)5月10日、石川県生まれ。5歳で競技を始める。星稜PELバディ、菊川FC Jr.をへて、11年にJFAアカデミー福島入り。17年なでしこジャパン初選出。好きな芸能人は向井理。趣味はバイオリン。家族は両親と兄。161センチ、53キロ。左利き。



