【パリ28日(日本時間29日)=松本航】競泳男子400メートル個人メドレーで東洋大1年の松下知之(18)が、初の銀メダルをつかんだ。
自己ベストを1秒42更新する4分8秒62で、日本競泳陣今大会初の表彰台。同じ栃木県出身で憧れの16年リオデジャネイロ五輪金メダリスト萩野公介氏(29)と同じ種目で名をあげた。担当の平井伯昌コーチ(61)は6大会連続で五輪メダリストを輩出。レオン・マルシャン(フランス)が4分2秒95の五輪新記録で金メダル、瀬戸大也(CHARIS)は7位だった。
タッチで光ったランプを頼りに、松下は「ゲット!」とメダルを確信した。地元フランスのマルシャンが抜け出し、会場に響く大歓声。300メートル5番手で得意の自由形に入ると「自分が一番強い」と言い聞かせた。先をゆくライバルをまくり、3位と0秒04差の銀メダル。表彰台から壮観な景色を見渡し「最高です。人生で一番緊張し、最高のパフォーマンスが出せた」と達成感をかみしめた。
勝負が大好きな少年だった。0歳から今春まで通ったスウィン宇都宮。仲間に恵まれ、小学生のころには「俺たち、みんなでオリンピックに行こうぜ」と言いながら競争した。人生の指針は「迷った時は難しい方を選ぶ」。大分の祖母の言葉だ。高校2年生だった2年前の12月、主戦場を200メートル、400メートルで迷った。結果が出ていた200メートルではなく「400メートルはきつい。目先でなく、今後だ」と基礎持久力にこだわった。
高校3年生となり、平井コーチの下で練習が増えた。今年2月から約1カ月のスペイン高地合宿。費用面で悩んでいると、両親は「後悔せずにやった方がいい」と送り出してくれた。3月の選考会で瀬戸を上回り、パリで海外の実力者に競り勝った。大舞台で「今日できるパフォーマンスは出せた。本当に良くやったな、という気持ち」と言える勝負強さが備わっていた。
表彰式ではマルシャンと観客一体で歌う、フランス国歌を聞いた。充実感を持ちながらも、次の目標ができた。憧れの萩野氏は高校3年生だった12年ロンドン五輪で銅メダル。4年後にその色を、金へと変えた。
「4年後もまだ若い。しっかりと、マルシャン選手を超えられる実力をつけて臨みたい。萩野さんは金メダルを取っている。自分も次は金メダルと思います」
金メダルとの差は5秒67。勝負が大好きな青年は、世界的逸材の背中を追う。



