【パリ=阿部健吾】29歳で初出場となった高谷大地(自衛隊)が決勝進出を決め、銀メダル以上を確定させた。準決勝で第1シードで22年世界王者のカイル・デイク(米国)を激闘の末に20-12で撃破した。
「技がどんどん出てくる、自分の中で閉まっていた引き出しがぼんぼん開いていく。そんなすごいすてきな空間だなって思いました!」。試合後の取材エリアで声が弾みに弾む。「オリンピックっすね!!」と、悲願の舞台を存分に味わい尽くす姿があった。
五輪3大会連続出場で35歳の兄、高谷惣亮(拓大職)の練習パートナーを務め、五輪に臨む過程を体感してきていた。東京五輪で兄が敗れた後に、自分のレスリング人生を見つめ直した。このまま「弟」でいいのか。パリへ向け、自分の道が始まった。
「ちょっと失礼な言い方になるんですけど」と前置きした上で、「失敗の仕方は3回見てる。それに持っていかれないように、ここまで来るのにすごいいろいろ組み立ててやってきていた」と言及した。兄の伴走者だったからこそ、しくじりも見てきた。「1つはSNSですね。4月からやめました」と対策の1つを明かす。「1つのない声に反応してしまって、自分の練習が変わってしまう、そういう悪影響もある。プラスの面もあるんですけど、100の応援より1の心ない声の方が響いたりするので。とにかく周りが盛り上がってる中、ほんとにひっそり自分1人のためだけにやろう」と決めてきた。
兄が届かなかったメダルを確定させ、誓った。
「五輪という、見てるみんなが、『青頑張れ! 赤頑張れ!』じゃないですけど、みんなで盛り上がって。どっちが勝ってもこの試合にはそれだけの価値があるんだという試合をしたい。勝敗は出るんですけど、その中でもこだわっていきたい。出しきれなかった後悔がないような試合ができたらなって思ってます!」
「見たいんですけどねえ」と笑うSNSも決勝が終わるまでは遮断して、決戦へ挑む。



