平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)は開幕前日の今日8日、一部競技がスタートする。日本選手団の先陣を切るノルディックスキー・ジャンプ男子で、史上最多8度目の冬季五輪に臨む葛西紀明(45=土屋ホーム)がノーマルヒル(ヒルサイズ=HS109メートル)予選に登場。7日は午前練習をキャンセルし、夜に平昌入りし初のジャンプ練習を行った。銀メダルに輝いたソチ五輪から取り入れるおなじみの飛ばない「レジェンド調整」。メダル獲得で日本に風を吹かせる。

 レジェンドが着地すると一瞬、ニヤリと笑った。午後7時からの公式練習の3回目。葛西は98メートルと飛距離を伸ばしてノーマルヒル出場を決めた。日本代表5人のうち出場は4人。1回目98メートルで4番手、2回目も96メートルで4番手と劣勢。当落線上にいたが、最後に2番手の飛距離で出場メンバーに滑り込んだ。「いやー、しょっぱいジャンプだった。8回目のプレッシャーもあって1、2本目は硬くなった。3回目は自分のジャンプができたかな」。安堵(あんど)とともに自らの最多記録を塗り替える8度目の五輪がスタートした。

 平昌で行われた午前11時からのジャンプ男子初の公式練習。日本は4人が参加したものの、最年長の姿がどこにもない。葛西を取材しようと朝からスタンバイしていた韓国メディアも肩すかしを食らい、寂しそうに引き揚げた。ただ、これはいつもの光景。「ノージャンプ調整」はソチ五輪直前から始めたメダル獲得へのルーティンだった。

 ジャンプは時速80キロ台のスピードで助走路を滑り降りて飛び出し、着地する。約10秒の短い時間で、重心や飛び出し角度などさまざまなことを考える。「頭が疲れる」と話すように負担がかかるが、そのストレスを減らし、クリアな頭で飛ぶためたどり着いた調整法だ。札幌で行われた4日間の直前合宿でももちろん飛ばず、平昌でもこれを続ける。

 ラブパワーが待っている。17日のラージヒルには妻怜奈さん(33)、愛娘璃乃ちゃん(2)ら家族が駆けつける。出発前は愛妻に「ちゃま(葛西の呼び名)ならやれる」と言われ、力をもらった。8日は予選、9日は開会式で旗手を務め10日は決勝と多忙だが「みんなに勇気を与えたい」。レジェンドが「チームJAPAN」に風を吹かせる。【松末守司】