東京五輪・パラリンピック組織委員会が、女性蔑視演出案で開閉会式の演出総合統括を辞任したクリエーティブディレクター佐々木宏氏(66)の後任人事について、新たな演出家を任命しない方向で最終調整していることが1日、複数の関係者への取材で分かった。今日2日、橋本聖子会長(56)が開く定例会見で方針を説明する見通しという。

既に演出計画が9割方できていて、国際オリンピック委員会(IOC)の了解も得ていることから、ここから計画を変更することは現実的ではない。新たに総合統括が就任すれば独自のアイデアを盛り込みたいと思うのは当然だが、それができない状況でクリエーターの名前だけをトップに据えるのは困難と判断した。

橋本会長は3月19日の会見で、後任人事について「かなりのものが出来上がっている中、どのような方にトップになっていただくのがいいのか。チームと相談していかないといけない」と話していた。後任候補も模索したが、大会まで4カ月を切った段階で、演出計画を始めから作り直すのは不可能だった。佐々木氏が辞任した後も従来の演出チームが継続してセレモニーの準備を進めてきた。

佐々木氏の指名で同チームのナンバー2として動いてきた、元お笑いコンビのラーメンズで、劇作家・演出家の小林賢太郎氏は現在も制作に携わっている。ほかにも多くのクリエーターが関わっており、現体制に混乱を来さないためにも新たな演出家を招かない、後任を置かない判断をした。