東京オリンピック(五輪)日本代表オーバーエージ(OA)選出の経緯

18年12月。森保監督から技術委員会にOA候補のリストが初めて挙がった。そこにはDF植田直通、MF柴崎岳、中島翔哉、FW岡崎慎司ら約10人の名前が入った。それを試したのが、翌19年6月の南米選手権。東京オリンピック(五輪)を目指す若手主体のメンバーに、所属クラブの了承を得たOA選手が入った。結果は2分け1敗の1次リーグ敗退。

東京五輪の1年延期などがあり、OA人選の見直しに入った。五輪代表のウイークポイント補充が最優先で、所属チームでの実績、若手との融合、代表活動中の評価などが判断基準となった。昨年まではMF柴崎、FW大迫、DF吉田の順で、弱点と思われたGKにOA権田を招集する案もあった。権田を選んだ場合には吉田を外す、との具体案が練られた。

柴崎と大迫が最終的に外れた。五輪年代のボランチには、守備能力にたけている選手は多いが、展開力のある選手が少なく、柴崎はOAの1番手だった。同じ理由で、ポストプレーができるFWが不在で、大迫も欠かせない存在と判断していた。

しかし柴崎が、スペインリーグ2部の下位クラブでも出番がないことなどで、遠藤に切り替わった。遠藤はブンデスリーガでボール奪取率1位など好調だったことにも一因がある。さらに4月21日の東京五輪組み合わせ抽選会で、日本と同組にメキシコ、フランスなど強国が入ったことで、中盤からの守備強化が必要となった。

さらに森保監督は大迫も外した。大迫の代わりにDF酒井を選んだ決断は“東京五輪は守備重視で戦う”とのメッセージとみられる。大迫は1年以上前に東京五輪出場に向け、日本協会スタッフに意向を聞かれ「森保さんが呼んでくれるなら、日本のために戦いたい気持ちが強い。クラブも説得する」と返答している。

相思相愛の大迫外しは、ポストプレーをある程度あきらめ、速攻や速いパス回しから相手を崩すことを徹底する覚悟の上の決断だろう。最前線でボールがキープできるFWがいれば、攻撃時にチーム全体のビルドアップが容易になり、攻撃のバリエーションが増える。そのオプションがなくなることは、速攻一辺倒の攻撃に徹することにつながる。

最後に吉田。吉田はA代表で冨安との連携が光り続けた。このセンターバック2人はラインの上げ下げやカバリングの相性も抜群だ。吉田と冨安に、酒井が加わったDFラインは高さの強みもあり、セットプレー時に攻撃でも守備でも計算できる。

攻撃の選択肢は確実に減る。それでも、守備の安定を重視した森保監督の決断で、短期決戦ならではの堅実な選択だ。失点が少ないほど次のステージに進む確率は上がる。反面、点を取らないとメダルは遠のく。森保監督は堅守重視でメダルに挑戦する。【盧載鎭】