防府開催の前検日だった25日、渡辺栞奈(28=静岡)が「ちょうど1年前の今日でした。お昼ぐらいには手術台にいましたね」と、ぽつりとこぼした。

渡辺栞奈は大けがを乗り越えて復帰した
渡辺栞奈は大けがを乗り越えて復帰した

昨年7月、練習中の事故で全身11カ所を骨折。一時は意識不明の状態で生命の危機に陥る重傷を負った。5月には競輪選手養成所同期の野崎翼と婚姻届を提出し、幸せな新婚生活をスタートしたばかりだった。

それでも、心は折れなかった。わずか5カ月後の12月に復帰。ガールズには公傷制度がないため、代謝制度2期目となる前期は出走回数を消化しつつ、競走得点47点をキープするノルマも見事にクリアした。

ガールズのトップ選手でもある児玉碧衣の存在が、渡辺の復帰を後押しした。「入院中、肩甲骨も折れて右手が上がらなくて、歩くのもやっと。選手に戻れないかも…と気持ちが落ちていた時に、オールスターに出ていた児玉さんを見て感動したし元気づけられて、絶対にまた選手に戻りたい! という気持ちが強くなった」と振り返る。憧れのライバルと再び戦うため、懸命のリハビリを克服してバンクに戻ってきた。

見た目は復帰前と変わらないが「背骨が折れて身長も2センチ縮みました(苦笑)」と、あっけらかんと話す。防府開催では児玉と3日間、一緒のレースでトップクラスのスピードを肌で味わうこともできた。復帰後初勝利、そして悲願の初優勝へ。死の淵からはい上がった渡辺なら、きっとできるはずだ。