木暮安由が地元で決勝入りを決めた。最終バック7番手から内を突いての2着。初日からギリギリのコースを突いて戦う姿に、今節に懸ける意気込みを感じた。決勝は単騎になった上に、誰が先行するか読めないメンバー構成。厳しい条件だとは思うが健闘を祈る。

ヤマコウと本紙栗田はG1初戴冠を狙う清水裕友を本命に推した(撮影・鈴木正人)
ヤマコウと本紙栗田はG1初戴冠を狙う清水裕友を本命に推した(撮影・鈴木正人)

私の本命は清水裕友だ。今節の彼は持ち味の位置取りに加え、自力の切れ味もさえている。そこにグランプリ(GP)の賞金争いのプレッシャーはないのか?

「オールスターあたりから感じています」と隠すことなく話してくれた。プレッシャーがあっても「そんなことないです」という選手が多い中、正直に話す姿勢に器の大きさを感じた。「オールスターあたりから気になっていて、それを振り払うにはタイトルを取るしかないな」と思って前橋に乗り込んできた。昨年は後半一気にGPを決めてしまい、今年のような、じわじわと真綿で首を絞められるような緊張感を感じずに済んだ。ここからが本当の闘いだ。

決勝は本格先行不在。ラインのできる自力3車を比較すると、トップスピードは清水が一枚上だ。三谷竜生は1番車を生かして中団を狙ってくるだろう。今節は誘導員を切るタイミングの判定が厳しい。そこに前橋ドームの走路特徴が加わって、後ろ攻めが苦戦している。誰もが後ろ攻めを避けたいところだろう。前受けになるのは清水か。

「憧れていた先輩たちがこんなプレッシャーの中、走っていたのが初めて分かった」という彼が、仕掛けるタイミングを逃さず初の栄冠を手にする。(日刊スポーツ評論家)