漁師をやっている同期のアミちゃんこと網谷修(62期・引退)と富山のF1に参加したことがあった。アミちゃんはA級で私はS級。A級で優勝したアミちゃんが「今日は泊まっていけ。一緒に飲もう」となった。

深夜まで飲み歩いて網谷家に帰宅。朝、雨が降っていて、もう1度寝ようとした瞬間、夫婦で言い合う声が…。「あんた、練習行かんがけ?」。「雨降っとる」と、いきり立つアミちゃん。「てんぐになっとったらあかんよ、あんた!」で勝負あり。競輪選手に休みはないのです…。

ヤマコウは地元の名古屋オールスターの前哨戦とばかりに吉田敏洋にエール
ヤマコウは地元の名古屋オールスターの前哨戦とばかりに吉田敏洋にエール

決勝は、吉田敏洋が単騎で近畿はラインが3つ。京都は村上博幸が前でやる。博幸はいろいろ考えて前を回るのだろうが、違和感がある。先手の3番手を回るなら博幸の方がうまい。しかし、それを受け入れたら稲垣裕之は脇本雄太と一緒の時、番手を主張されることも覚悟しなければいけない。「それでも別にいい」と言うなら話は別だが、脇本の番手はタイトルに一番近い位置。こういうところで自力を貫き、信頼を得るのは大事なことだ。

前を回って死ぬことが実績を積み上げることではない。前を回って何をしたかが重要だ。追い込み選手が前を任されたら、先行の番手を狙うことが、先行するのと同じ意味だと思う。着だけ考えれば「競りははやらない」。しかし、走るのは人間だ。認められるということは、万国共通だと思う。

ただ、博幸が前を回ることによって、単騎の敏洋は自分で1度動いて3番手を取る必要が出てきた。足をためて、まくりを狙いたいところだが、実質、元砂勇雪と松岡健介の2分戦なので、博幸より前にいなければ駄目だ。どちらかのライン(松岡、元砂)が前を取った、その後ろがベスト。後ろから動くラインに博幸が乗るので、そこを一気にたたいて前を取ったラインを待つと3番手が取れる。

G1は9車なので、7車の競輪では熱量が違うかもしれない。しかし、いろいろ考えてレースに挑むことで、とっさの判断が養われる。プレ名古屋オールスター決勝のつもりで走ってほしい。(日刊スポーツ評論家)