まさに「最後の決戦」です。サッカー界で冬の風物詩といえば、全国高校サッカー選手権ではないでしょうか。選手権の舞台に憧れて、高校に入る選手もいます。全てを懸けて臨み、勝てば喜び、負ければ泣き崩れる。そんな一生懸命な姿に、見ている側は引き込まれます。
開幕まで約2週間。各チームは登録メンバーを決めて調整中ですが、この舞台を経験した選手も多く出場している大学選手権(インカレ・7~18日)が今、行われています。4年生にとっては最後の公式戦です。
東海地区第1代表で出場した静岡産大は、5年ぶり11回目の出場でした。大会前から、何度も耳にしたのは「1日も長く、仲間とサッカーがしたい」という思いでした。主将のMF新村一輝(4年)は静岡県内の一般企業に就職する予定で、「みんなで行けるところまでいきたい」と話していました。
1回戦は環太平洋大に3-0で勝利。2回戦で、関東リーグの強豪日体大と対戦しました。圧倒的に攻め込まれ、守備に追われる時間帯が続きました。新村は後半途中から足をつりながら、体を投げ出してのシュートブロック、スライディング、ボールに食らいつき続ける姿が印象的でした。前半に1失点し、後半ロスタイムに2失点目を喫し、0-2で敗れました。
試合終了と同時に、ピッチに泣き崩れる選手も。それでもチームメートで声をかけあい、涙をぬぐいながら、アウェーの応援席にもあいさつに行く姿は、立派でした。サッカー人生最後の大会を終えた新村は、ロッカールームを出る時に、スッキリした表情をしていました。
「小中高とずっとやってきて、(JリーグやJFLでプレーすることが)無理なら諦めようと思っていましたから」
強豪を相手に食らいつけた。大好きなサッカーをやりきり、未練なくスタジアムを去る後ろ姿は、大きく見えました。
「僕らはうまくない中で、もがいて、戦うことができた。やりきりました。最後に全国大会に出られて良かった。ここまでよく戦ってきたと思う。チームメートには『ありがとう』と伝えたいです」。
その一方で、スタンドにはJリーグクラブのスカウトも視察に訪れていました。ここは選手にとって、将来のチャンスをつかめる場所でもあります。これからの夢と「最後」が交錯するのが大学選手権。それぞれの人生模様を見ることができます。【保坂恭子】
◆保坂恭子(ほさか・のりこ)1987年(昭62)6月23日、山梨県生まれ。埼玉県育ち。10年入社。サッカーや五輪スポーツ取材を経て、昨年5月から静岡支局に異動。J1磐田と、J3藤枝の担当。冬はやっぱりみかん。三ケ日みかんはとても甘くて、おすすめです。



