日本代表の森保一監督(53)が、ロシアのウクライナ侵攻を受けて戦争反対のメッセージを発した。約2週間の欧州視察を終えて帰国し、25日にオンライン取材に応じた。長崎出身で広島の監督を務めて平和への思いが強い指揮官は「悲しい。何が理由であっても武力行使をして物事を解決することはあってはいけない」と訴えた。

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森保監督は神妙な面持ちで語った。ロシアのウクライナ侵攻について質問を受けると目を見開き、「悲しい。両国のことを詳しくわかっているわけではないが、なにが理由であっても、武力行使で物事を解決することはいけない。人と人が殺し合うということはやるべきでない」と“戦争反対”を明確に訴えた。

約2週間の欧州視察中は、ウクライナ情勢の話題が大きなニュースになっているのを見聞きし、気になっていたという。自身は長崎で育った。現役時代は長く広島でプレーし、監督として広島で3度のリーグ優勝を経験した。第2次世界大戦の被爆地と縁が深く、日ごろから平和への思いを強く持っている。

昨夏の東京五輪では、「広島平和記念日」の8月6日に3位決定戦が行われた。その前日の記者会見で「平和であるからこそ、大好きなことができる。世界中で戦争、紛争で命を失われたり、命を脅かされたり、傷ついている人がいる。人々が安全で安心で生活できるよう、心穏やかに生活できるよう、そうなるよう祈っております」と、メッセージを発していた。

しかし、そんな思いとは正反対の侵攻が起きている。「大切な命も奪われている。人と人が殺し合うことはやるべきではない。戦争はあってはいけない」。祈るように語気を強めた。【岡崎悠利】

○…森保監督は今回の欧州視察で8試合を観戦し、MF香川(シントトロイデン)MF中島(ポルティモネンセ)ら選手14人と会ったと明かした。

直近の代表活動では負傷のため招集外だったDFの吉田(サンプドリア)と冨安(アーセナル)はともに順調な回復を確認したが、その直後に冨安が負傷。「次の活動はできるかできないか明確な判断に至るところではない。できる可能性はあると聞いている。状態を見て」と慎重に話した。負傷離脱が続くFW古橋(セルティック)については「プレーできる状態ではない」としつつ「リハビリは順調」と前向きだった。

7大会連続のW杯を目指す日本は3月24日のアジア最終予選のオーストラリア戦(シドニー)に勝てば出場が決まる。