日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(59)が、プレミアリーグのマンチェスターU移籍が内定したFW香川真司(23=ドルトムント)に「金言」を送った。W杯アジア最終予選のヨルダン戦(8日、埼玉)を間近に控えた5日に、マンチェスターUとドルトムントが移籍を発表。ザッケローニ監督は6日、香川に「マンUに3年間残ってプレーした時、私は初めておめでとうという言葉をかける」と伝えたことを明かした。日本代表はこの日、埼玉県内でヨルダン戦に向けた練習を行った。

 絶大な信頼を置く背番号10に、温かくも厳しい言葉を投げかけた。W杯最終予選3連戦の最中にマンチェスターU移籍が発表された香川に、ザッケローニ監督はセリエAの強豪を率いて欧州の舞台で戦った経験をもとに、語りかけていた。

 ザッケローニ監督

 (香川)真司には、「この時点では幸運を祈る」と言ったが、「おめでとう」とは言わなかった。ここはスタート点であって到達点ではない。マンUに3年間残ってプレーをしていた時、初めておめでとうという言葉をかけたい。本当の結果とは功績を残したという意味での結果だからだ。マンUに行くことは素晴らしいが、功績を残してこそだ。

 常日ごろ、選手を評価する際に継続的な活躍を重視する指揮官らしい「金言」だった。当然、プレミアリーグのレベルやマンチェスターUの選手層などをすべて理解した上での言葉だ。香川のさらなる成長を期待しているから、単なる「祝言」では終わらなかった。

 それでも、「マンチェスターUの香川」の将来には太鼓判を押した。

 ザッケローニ監督

 3年後に、真司におめでとうという言葉をかけられると確信しているし、彼のクオリティー、メンタルともに通用すると思っている。

 6月のW杯最終予選3試合に向け、情報漏れ防止を徹底するなど、対策を取ってきた。このような移籍報道による騒動もプラスになるかは分からないが「選手からも、この件について触れたくないという話が出たと聞いたが、これに触れないのは難しい」とあえて口を開いた。

 ただ、この日のこの瞬間をもって、再びW杯予選モードに突入した。「ヨルダン戦に向けては良い準備ができている。ピッチ上で証明されると思う」。6月の残る予選2試合を勝利で終えることこそ、指揮官と香川にとって、現時点の最大の目標に違いない。【菅家大輔】