最多5度の優勝を誇るブラジル(FIFAランキング6位)が、前回カタール大会4強のモロッコ(同7位)と1-1で引き分けた。FWビニシウス(25=レアル・マドリード)の得点で前半のうちに追いついたが、勝ち越せなかった。初戦負けなしの記録は21大会連続(17勝4分け)に更新したが、課題は多く王国復権の道のりは険しい。
◇ ◇ ◇
数々の栄光に彩られてきたカナリア軍団は浮足だっていた。序盤からモロッコの攻勢にたじたじ。パスがつながらず押し返せない。前半21分、スルーパスからMFサイバリに芸術的なループシュートを決められた。世界一の妙技の国が、相手にお株を奪われた。
だが失点で目が覚めた。前半32分にビニシウスが左からカットインし、右足シュートをたたき込む。鮮やかだった。ただ、この1点止まり。モロッコは強かった。相手の圧力にパスミスが目立ち、チャンスも多くなかった。マッチMVPのビニシウスは「ひどいスタートを切ってしまった。もっとボールを保持しないといけない」。美しさのない試合を嘆いた。
ブラジル史上初の外国籍指揮官、アンチェロッティ監督にとっても初めての舞台は苦いものとなった。「期待していたような試合ができず申し訳ない」。会見では謝罪の言葉を口にした。ただ欧州CL最多5度の優勝を誇る指揮官は、強気に構えた。「落胆してはいけない、W杯の初戦で何かが決まるわけではない」。前回大会のアルゼンチンがそうだった。初戦でサウジアラビアに敗北を喫したが、そこから勝ち上がりタイトルを手にした。そう考えればブラジルは、改善すべき糧を得たとも言える。
右ふくらはぎの負傷を抱えるネイマールはベンチから見守った。ビニシウス、ラフィーニャも含め個々のタレント性ならエムバペのフランスにもひけを取らない。個々の輝きをチームとしてどうつなぎ合わせていくのか。「もっとバランスの取れたチームに仕上げ、攻撃的にいかなけばならない」。王国復権はイタリア人指揮官の手腕にかかる。


