W杯の3位決定戦は「おまけ」なのか? その理由はこうだ。
--準決勝で敗れた後だけに、優勝という目標を失ったチームはモチベーションが保てない?
確かにこの日のフランスで言えば、4失点した前半の戦いぶりは魂の抜け殻のようなチームだった。
--勝負への厳しさが薄れてしまい、大味な試合になりやすい?
イングランド対フランスは6-4というスコアで合計10点が入った。確かに今回はその通りの記録的な打ち合いになった。
--勝負に厳しくない分、得点王がかかっている選手には稼ぎどころなのか?
確かにエムバペが2ゴールを決め、得点ランキングのトップに浮上した。また、これまでも3位決定戦に出場したチームから得点王は誕生している。
ただし、そうとも言えない。3位決定戦でゴールして得点王に輝いたケースは、1990年以降の過去9回で、90年イタリア大会のスキラッチ(イタリア)、、98年フランス大会のシュケル(クロアチア)、10年南アフリカ大会のミュラー(ドイツ)の3人。恩恵を受けたとまでは言い難い。
そんなこんなで何かと不要論が唱えられる「3決」だ。しかし個人的にはあった方がいいと考えている。
なぜか? 100年近い歴史にあってW杯優勝は8カ国しかない。それだけ厳しい頂(いただき)なのだ。一足飛びでW杯に優勝しました、という例などない。地道な積み重ね、その歴史の先に優勝があるという論理は変わりない。つまり「3位」の先に次のステップとしての優勝があると考えている。
日本の歴史をたどれば、今も1968年(昭43)のメキシコ五輪の銅メダルは功績として残っている。あの表彰台の3位があったからこそ、もう一度世界の上位を目指そうとプロ化への舵が切れたと思う。
それは「マイルストーン効果」というもの。1つの物理的証拠が「中間目標地点」として新たな強化策やモチベーションを生み出す。
まだ歴史が浅い国や途上国にとって、いきなり優勝は無理でも「3位」は目標の1つの置きどころになれる。クロアチアは98年フランス大会の3位があったからこそ、20年後の18年ロシア大会で決勝に進出し、22年カタール大会でも3位と大健闘している。
3位決定戦不要論は大国の論理だろう。日本のような8強進出がないチームは「W杯優勝」を掲げる前に、まずは表彰台に上がるというマイルストーンを持ちたい。そう考えれば、優勝経験国8チーム以外にとっては「おまけ」とはならない。“ガチ”な一戦だ。
W杯に無駄な試合などない。【佐藤隆志】



