日本代表(FIFAランキング18位)が、W杯北中米大会の1次リーグ第2戦でチュニジア代表(同45位)を4-0で退けた。国外開催のW杯では過去3分け3敗だった第2戦での完勝劇。日刊スポーツの担当記者がゲームの機微や舞台裏に迫る「Nikkan Eye」では、22年カタール大会のコスタリカ戦との比較もしながら、ダブルボランチの働きぶりを掘り下げる。
◇ ◇ ◇
日本が“鬼門”とされてきた第2戦を、見事な戦いで突破した。4年前の22年カタール大会では、初戦でドイツを撃破しながら、続くコスタリカ戦を0-1で落とした。今回も守備を固めてカウンターを狙うという点で似たタイプのチュニジアが相手。難しい戦いになるとも予想されたが、結果的には過去の課題をクリアした上での勝ち点3獲得となった。
2ゴール1アシストのFW上田や、DF板倉、冨安が入った最終ラインも貢献度は高かったが、ここではダブルボランチの働きにフォーカスする。
MF久保の負傷離脱により、この試合では初戦のオランダ戦でボランチだったMF鎌田を1列上げてシャドー(トップ下)に置き、ボランチにはMF田中碧(27=リーズ)とMF佐野海舟(25=マインツ)が入った。この起用が機能した。
その中で注目したのは、相手の守備ラインを破る縦パスとされる「ラインブレーク(LB)」の数字だ。22年のコスタリカ戦では遠藤、守田のダブルボランチのLBパスが41本中25本で成功率61%。チュニジア戦では22本中20本と成功率91%に大幅アップした。本数は減っているが、精度は大きく異なり、佐野に至っては11本全てを成功させた。
相手が守備に重点を置いても、高い確率で前方へのパスを成功させられたことで、ゴール方向への推進力が高められた。後半24分にMF伊東が決めた3点目は、田中から上田に出した縦に突き刺すようなパスから生み出された。
縦パスのミスが減ったことで、相手にカウンターのチャンスを与えなかったことも大きなポイント。全体のパス成功率で見ても、田中と佐野はいずれも75本中72本成功で96%の成功率を記録。球際での激しい争いで奪った直後のパスもあったことを考慮すれば、驚異的な数字と言っていい。
ボールを動かすことはもちろん、自身が動いて「ラインブレーク」していく動きも光った。田中は前半4分に前線に飛び出して受け、鎌田の先制点を呼び込んだ。佐野も後半38分にゴール脇の位置に抜け出して、絶妙クロスでFW上田のチーム4点目をアシスト。総走行距離でも田中が11・2キロ、佐野が11・5キロとチーム上位を独占し、2人の存在感の大きさを示した。
ボールを持てるからと言ってつなぐだけでなく、積極的に相手ゴールに向かってアクションを起こすこと。それがなければ、4-0という結果はあり得なかった。【永田淳】


