俺もいるぞ! 15年世界ユース選手権2冠のサニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)が男子100メートルで日本歴代6位の10秒06を2本並べ、今日24日の決勝に進出した。4月に出した自己記録を0秒12更新して予選、準決勝ともトップ通過。世界選手権の参加標準記録10秒12も突破した。桐生祥秀(21)山県亮太(25)ケンブリッジ飛鳥(24)多田修平(21)の4人による争いと目された100メートル代表争いに風穴をあけ、日本人初の9秒台に名乗りを上げた。

 サニブラウンが約4時間後の準決勝に向けた前座のような予選の空気を一変させた。追い風は0・4メートル。苦手のスタートで出遅れたが、大きなストライドで中盤から加速。終盤で予選通過を決定的にしても流さなかった。フィニッシュライン脇の速報掲示は「10・03」。会場に10秒05超えの「大会記録です」とアナウンスが流れると、静かに笑った。電光掲示板に表示された正式タイムは10秒06と変わったが「自分でも正直びっくりしている」。日本歴代6位の記録となった。

 追い風0・5メートルの準決勝でも、先行を許した多田を終盤で差し切り、100分の4秒先着した。今季は「200メートルをメインに」と話していたが、100メートルで10秒06を連発。底知れぬ可能性と、予選がまぐれでないことを証明した。決勝に進出した8人のうち、5人が参加標準記録を突破した。大混戦のレースを演出した18歳は「すごい名だたるメンバー。明日の決勝が楽しみです」とにこにこしていた。昨季まで自己記録は10秒22だったが、今季に入って0秒16も短縮した。急激な成長曲線を描く自分自身に期待するのは当然で、9秒台突破も現実味を帯びてきた。