2016年の女子ツアーが開幕した。ボミちゃんは相変わらずかわいかった。当たり前やけどね。ダイキン・オーキッド・レディース最終日のラウンド後。プレーについて一通り聞いて、ちょっと横道にそれた、というか、そらした。

 「ところでプロ、ちょっとやせました? 何かほおこけてませんか?」

 「えー? 逆にちょっと太ったんですよ。でも、周りから、そう言われるんです。タイ(前週の米ツアー・ホンダLPGA)で日焼けしたからかな」と言って、いたずらっぽく笑うんですわ、これが。ほんで両手で顔をはさみながら、とどめの一言。

 「かわいそうに見えますか?」

 あーあかん。そんなことをそんな風に言われたら、アホなこと言うてまう。

 「何言うてますの。かわいそうやなくて、かわいく見えるんですがな!」

 キャッキャッと笑ってくれたからええけど、そのうち相手にされんようになる。ええ加減にしとかな…。

 さて、そのボミちゃん。かわいさだけやなく、ゴルフのすばらしさも相変わらずやった。あらためて「すごい!」と思ったこともあった。今更ですが。

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 「音」が違う。

 最終日の前半アウトをついて回った。前日午前から明け方まで、断続的に降った雨はおさまってたけど、ラフはもちろん、フェアウエーもカジュアルっぽい場所が随所に見られた。風も弱まったけど、しっかり吹いてる。つまり、ええコンディションではない。

 それでも、乾いた音がする。「カシッ!」ちゅうか「コーン!」ちゅうか。アイアンもフェアウエーウッドも、フェースと球の当たる音だけが聞こえる。深めのラフとかはもちろん、そうはいけんけど、基本的に芝をこするような“雑音”がない。同組はベテラン表純子と新鋭の永峰咲希やった。こと「音」については、ほぼ別物やった。

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 首位と5打差からスタートして、前半でバーディーを3個とった。上位陣が途中、伸び悩んだから、一時は1打差まで迫った。後半に失速して優勝には届かんかった。「体が重たくなって、集中力がなくなってしまって」。タイで日曜日まで試合して、深夜便で月曜朝に関西空港に着いて、沖縄に来て、水曜にプロアマ戦に出て、今年から4日間に伸びた大会で、土曜は天気が荒れまくって…。そら疲れるわな。「オフはショットに時間を多く使って、アプローチ、パットのショートゲームの練習が少なかった。それをもっとやっていかないと」。それでも、6位です。

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 優勝したのは、そのボミちゃんが1番恐れるテレサ・ルー。大会2連覇ですわ。サンデーバックナインはすごかった。終盤3連続バーディーの2つ目、16番パー3でグリーンまで2ヤードの花道からパットを手にして15メートルを放り込んだのはすごい。でも、それ以上に14番パー4がすごい。絶対に外したらあかん、芝が薄々の場所から、胸元ほどの高さがあるグリーンに乗せたロブショット、3メートルのパーパットを決めた一連のパフォーマンスは神懸かってた。

 「オフ? 新しいことはナッシング。トレーニングをしっかり。技術的なことはベーシックだけね」。1カ月かけて描いた油絵が、チャリティーコンペのオークションで約2000万円で落札された。画伯しながら、準備は怠ってへん。

 「平均ストローク60台。目標はそれだけ」。史上初の70切りを、今年こそ絶対、達成するつもりや。

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 ボミちゃんとテレサ。終わってみれば、2人のすごみだけが際立った開幕戦。これって、2015年と一緒やがな。日本勢、頑張ってや。頼んまっせ。【加藤裕一】