「さすがに怒られすぎだ~。ホント、やんなっちゃうよ~」。そんなことをブツブツ言いながらも、金田久美子(28)は楽しそうだった。いつものようにバッチリ化粧をして、オシャレなウエアを着込んでいる。来季のツアー出場権を懸けたファイナルQTの第2日(11月29日)。1アンダーの19位から出た「キンクミ」こと金田は、8バーディー、2ボギーの66で回り、通算7アンダーで単独首位に立った。

 「今回はノリさんにね、キャディーをお願いしたんですよ。最初に『やってよ』って言ったら『QTなんか行きたくね~よ。俺、20年以上、キャディーやってるけど、QTはやったことね~んだから』って言われちゃった。でも何回か『やってよ』って言っていたら、『ほな、やったるわ』ってなったんです。でもホント、怒られてばっかり」

 今大会はイ・ボミの専属で知られる清水重憲キャディー(43)にバッグを任せた。すぐに効果は出て、2日連続のアンダーパー。グリーン上ではこんなやりとりがあった。ラインを読んだ清水キャディーから「ここは普通に打て」と助言を受けた。だが抑え気味に打とうとすると「お前、そんなことをしたらショートして3パットするぞ!」と叱られたという。指示通りに打つと、しっかりバーディー。好スコアの背景には、経験豊富なキャディーの存在があった。

 「去年も担いでもらったことがあるんですよ。でも怒られすぎて、ノリさんの顔を見るだけでビビるようになっちゃった。今年は怒られて泣きたくなかったから、やってもらわなかったんです。番手とか、考え方とかで『お前、アホか!』って言われる。私もたまに言い返すけど、そうすると、もっと言われるから…」

 今季はいい状態を維持できず、ツアー32試合で予選落ちが14回、棄権1回。トップ10入りは2回しかなかった。賞金ランク62位(1765万500円)で、2年間保持した賞金シード権を喪失。笑顔は減り、悩む日々が続いた。

 「どうしでもトーナメントだと、トップ10に入りたいという気持ちが強すぎちゃう。でも(30位前後に来季出場権が与えられる)QTなら、ガツガツいかなくてもいいから、落ち着いてやれるのかな。今の自分のゴルフをしていれば、必ず通ると思う」

 天才少女と呼ばれた金田も28歳になった。勝みなみや新垣比菜ら、伸び盛りの若いプロが次々と出てきてはいるが、まだ老け込む年ではない。QTを突破した先にある来季の巻き返しへ。ギラギラとした輝きを取り戻す日を、楽しみにしている。【益子浩一】