2019年になった。20年東京オリンピック出場を狙うアスリートには本当に大事な1年だ。16年リオデジャネイロ大会から復活したゴルフ。地元開催のオリンピックの舞台に立つことを目標に掲げる渡辺彩香(25=大東建託)は、19年シーズンのスタートダッシュに照準を合わせていた。

昨年12月、都内で行われたゴルフイベント。渡辺は「今年(18年)は、かなり好き放題やりたいことをやりました。スイング改造をしたり。全部オリンピックのために周りをみずにやってきた」と振り返った。世界ランク191位だった10月、19年米ツアー出場権を懸けて2次予選会(米フロリダ州)にも挑戦して敗退。2年後のオリンピック出場権も世界ランク上位2人が条件となる。少しでも同ランクを上げるための19年米ツアー挑戦プランだったが、かなわなかった。

この米予選会出場のために約1カ月間、日本ツアーを離れたこともあり、賞金ランキングは55位。6年ぶりにシード権を喪失した。渡辺は「それでもスポンサーの方々にも応援してくれて、今思うと本当に心強かったです。19年は悪い時に支えてくれる人たちを笑顔にできる1年にしたい。優勝だけでなく、いろいろなことで笑顔にできたらと思いますね」と感謝した。

19年の日本ツアーは賞金ランク51~55位までに与えられる出場権(6月までの1回目のリランキング)を持つ。しかしシーズンを通じて出場を続けるには、この前半戦で好成績を出さなければ出場機会さえも失う。自称スロースターターでもあるため「しっかり前半からガンガンと上位にいるつもりで。トレーニングも今までよりも早め早めに始めるつもりなので」と切り替えている。

リオオリンピック前、渡辺は世界ランク日本勢3番手で迎えた全米女子オープンの最終日に失速して38位フィニッシュ。日本勢の上位2人に残れず、惜しくもオリンピック出場を逃した。最新の世界ランクで、渡辺は205位。ただ日本ツアーで好成績を収めれば自然と世界ランクは上昇し、メジャー大会の出場権も得られる。活躍すれば、さらなるランクアップが狙える。

「前半からしっかり結果を出していきたい」。あとは、はい上がるだけ-という覚悟は、表情からもうかがえた。3月の開幕戦にはスタートダッシュ型にモデルチェンジした渡辺の姿が見られるはずだろう。

【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)