首位スタートの石川遼(26=CASIO)が5バーディー、2ボギーの68で回り、通算11アンダーで2位に4打差をつける独走態勢に入った。前半最後の9番では、コース右斜面の植え込みに打ち込むトラブルも絶妙なショットでパーセーブ。ピンチをチャンスに変える前向きな思考で15度目のツアー優勝へ突き進む。

 諦めない気持ちが、石川のショット、パットに乗り移った。10アンダーで迎えた9番パー4。ドライバーでの第1打は、右斜面木立の下の植え込みにつかまった。グリーンまで70ヤードも、前には打てず、後方フェアウエー90ヤード地点から第3打。これをピン奥8メートルにつけると、この日好調なパットでパーセーブ。スーパーショットの連続でピンチを切り抜け、ガッツポーズも飛び出した。

 今大会初のボギーを覚悟する場面も「まだまだ、そこは諦めていなかった。植え込みの上に枯れ葉が積もってボールが止まったことを、逆にラッキーと前向きに考えた」。前半最後の好プレーで後半も、3バーディー、2ボギーとスコアを1つ伸ばした。ほかの選手が強風に苦しむ中、終わってみれば2位に4打差の独走態勢を築いていた。

 今大会を単独首位で決勝ラウンドを迎えるのは、初出場の08年以来2度目だ。アマで実績を残し、破竹の勢いだったデビュー当初から10年。米国でのツアー出場資格を失い、国内ツアーに戻ってきた石川は、新たなスタート地点に立っている。「誰にも相談せず、1人で自分は今年日本で戦うと決めた。ボクとしては、今までの中で1番の覚悟を持っている」と言う。

 その決意の中、今季の石川のゴルフは自分との闘いだ。「周りを見るのではなく、自分は自分の景色でやりたい。それを今年は意識しています」。スコアを考え守りに入らず、攻め続けた結果が、2日間でバーディー13個という孤高の戦いにつながっている。

 米国に渡り、うまい選手を手本にするあまり、忘れていた自分のスイング。それを取り戻す戦いは続く。選手会長として一番訴えるのもファンを喜ばす選手のレベルアップ。01年片山晋呉、08年宮本勝昌に続く3人目の選手会長としての開幕戦優勝が、その先頭に立つことになる。【桝田朗】